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米大統領候補は政策を堂々と競い合え

[社説]米大統領候補は政策を堂々と競い合え
 
 
#社説 #オピニオン
2024/8/4 2:00
 
バイデン氏の撤退を受け、米大統領選はハリス副大統領とトランプ前大統領が対決する構図に一変した=AP
米大統領選はハリス副大統領が民主党候補の指名を受けることが確定し、共和党のトランプ前大統領との対決が決まった。バイデン大統領の撤退で仕切り直しとなった選挙戦は11月5日の投開票日まで3カ月の短期決戦となる。

両陣営は討論会などを通じて政策を堂々と競い合い、どちらが超大国のリーダーにふさわしいのかを判断する材料を有権者に積極的に提供すべきだ。

81歳のバイデン氏から59歳のハリス氏へと世代交代が進み、民主党はにわかに活気づいている。世論調査の支持率は対バイデン氏で明白だったトランプ氏の優勢がそがれ、ハリス氏が持ち直す結果もでている。高齢によるバイデン氏の健康不安を懸念した支持層が戻ってきたとの分析がある。

民主党は複数の候補を競わせて後任を選ぶ選択肢をとらなかった。非常事態を受けてハリス氏をいち早く擁立し、挙党態勢の演出につなげた戦略はいまのところ奏功しているかに映る。

後任選びで党内対立が深まる展開を避けられたという意義だけではない。トランプ氏の暗殺未遂事件から続く大統領選の混迷を早く食い止めなければ、米民主主義がさらに傷つく恐れがあった。

ハリス氏は副大統領として不法移民対策などを担ってきた。とはいえ、経済や外交・安全保障政策でどんな考えを持っているかはそれほど知られていない。

それを明らかにする格好の機会が、両候補が直接対決するテレビ討論会だ。検察官出身のハリス氏は弁が立つとの評もある。精彩を欠く言動でバイデン氏の撤退につながった6月末の討論会をみればわかるように、振る舞いを含めその資質が厳しく問われる。

米大統領選の討論会は選挙戦終盤の9〜10月に複数回を開くのが通例だ。今回も同様の措置をとるのが筋である。

黒人女性のハリス氏はインド系移民の母親を持ち、米国の多様性を体現する。トランプ氏はこうした出自のハリス氏を「ずっとインド人だったのに突然、黒人になった」などとあげつらう発言をしている。このような人種差別的な言辞は許されない。

おりしも米景気は後退する懸念が強まってきた。欧州や中東の戦乱も収束には程遠い。こうした環境で、分断をさらに深めるだけの中傷合戦を米国の有権者は望んではいまい。