バンブーズブログ

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ビーチのビジネス利用広げよ

[社説]ビーチのビジネス利用広げよ
 
 
#社説 #オピニオン
2024/8/4 2:00
 
海水浴場を開設しないビーチが増えている(神奈川県三浦市
日本列島は長い海岸線を持ち、各地に美しい砂浜が広がる。しかしこれまでレジャーや観光での利用は海水浴場や一部のマリンスポーツなどに限られていた。インバウンド(訪日外国人)の地方誘致も含め、ビーチの価値を生かしたビジネスへの活用を進めたい。

日本の砂浜は基本的に公有地で誰でも自由に入れるが建物などの設置は最小限に抑えられている。海水浴客のための「海の家」も夏だけの仮設物で設置者の費用負担は大きい。近年は少子化やレジャーの多様化による客数減、人件費の上昇などから海水浴場を開設しない自治体が増えている。

海外の高級リゾートホテルに多い水上コテージも、日本では事実上、建てられない。米欧では砂浜に散歩道やベンチ、日よけ付き休憩所を設け、映画の上映会を開くといった利用法がみられる。日本も砂浜とその周辺、いわゆるビーチエリアを通年で多角的に利用しやすくすべきだ。

国土交通省によれば現在、民間企業などがビーチを使うには国有財産法、海岸法、港湾法漁港漁場整備法、自然公園法など多くの法規制をクリアしなければならない。事業者側には必要な手続きや担当がわからない、新規参入の壁が高いといった不満がある。

まず関係する規制を整理し、窓口となる部門を定めてはどうか。中長期的には自然環境の保全に配慮しつつ、通年で使える施設を作れるようにする道を探りたい。日本の海岸部は台風などの災害も多いが、設計を工夫すれば防災の拠点にもなりうる。

ビーチのビジネス利用が進めば今はボランティアなどに頼る海岸の清掃に収益を振り向けることもできる。海辺がきれいになれば、集客増や滞在の長期化につながるという好循環が期待できる。

海のある町は都会からの移住先やリモートワークの拠点として人気が高まっている。ビーチを通年で魅力のある場所にできれば、周辺での飲食店の開業など、にぎわいづくりにも生かせそうだ。