バンブーズブログ

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自民党に自浄能力に疑問あり

[社説]自民党に自浄能力はあるのか
 
 
#社説 #オピニオン
2024/8/30 2:00
 
東京地検は7月、北海道登別市にある堀井学衆院議員(当時)の地元事務所を家宅捜索した =共同
堀井学衆院議員=自民党を離党、辞職=が政治資金規正法違反と公職選挙法違反の罪で罰金などの略式命令を受けた。東京地検特捜部による裏金事件の捜査で発覚した。「政治とカネ」をめぐる不正の連鎖は深刻だ。自民党の自浄能力を疑わざるを得ない。

堀井前議員が問われた罪は、所属していた安倍派から還流を受けたパーティー収入約1700万円を収支報告書に記載しなかったほか、選挙区内の有権者に香典などを配ったというものだ。

秘書らを通じた香典などの配布が禁じられていることは政治活動の常識だ。2021年には菅原一秀経済産業相が同様の罪で有罪となっている。

堀井前議員は任意聴取で「違法性は認識していた」と説明したという。順法意識の欠如にはあきれるほかないが、自民党内に金権選挙を容認し、ルールを軽んじる土壌があったのではないか。

裏金をめぐる一連の捜査では、還流を受けた議員の大半が不記載の金額などを理由に立件されなかった。しかし堀井前議員は裏金を違法な香典の原資に充てていた疑いがあり、特捜部は悪質性が高いと判断して略式起訴した。

自民党が公表した調査報告書では、裏金を政治活動以外や違法な使途に充てたと答えた議員はいなかった。もはや調査の信用性はゼロに等しい。ほかの議員についても徹底した捜査が必要だ。

堀井前議員とは別に、広瀬めぐみ前参院議員=同=が先月、勤務実態のない公設秘書の給与を国からだまし取った詐欺の疑いで特捜部の強制捜査を受けた。岸田文雄首相(自民党総裁)を筆頭に党の責任は重い。離党や議員辞職したからといって済む話ではない。

自民党の総裁選に名乗りを上げた各議員は「政治の信頼回復」を訴える。その言説が本心なら、事件を招いた党の体質に踏み込んだ徹底的な検証が前提だ。そのうえで再発防止に向けた具体的な道筋を示さない限り、信頼を取り戻すことはおぼつかない。