バンブーズブログ

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[社説]買収事件招いた自民の責任


 
 
#社説 #オピニオン
2023/12/29 2:00
 
東京都江東区にある柿沢未途前法務副大臣の事務所(14日)
このままで日本の民主主義は大丈夫なのか。不祥事の連鎖に国民の不安と怒りは増すばかりだ。

衆院議員の柿沢未途前法務副大臣=自民党を離党=が公職選挙法違反(買収など)容疑で東京地検特捜部に逮捕された。

4月の東京都江東区長選で、木村弥生前区長を当選させる目的で区議らに計約200万円の現金を提供するなどした疑いがある。柿沢議員は容疑を否認しているとみられるが、政治不信が深刻化するのは必至だ。徹底した捜査で真相を解明してほしい。

2019年の参院選広島選挙区の大規模買収事件では、県議らに現金を配ったとして河井克行元法相らの有罪が確定。21年には選挙区内の有権者に現金を渡したとして菅原一秀経済産業相が略式命令を受けた。

なぜ同じような不正が繰り返されるのか。自民党の体質に問題があると考えざるを得ない。岸田文雄首相らは猛省すべきだ。

柿沢議員は、選挙期間中に木村陣営が有料インターネット広告を掲載した事件に関与した疑いもある。有料ネット広告は、特定の候補者が資金力にものをいわせて支持を獲得するのを防ぐため公選法で禁じられている。

ネット上の選挙活動の規制については複雑さを指摘する声もあるが、国会議員自らがルールを破っていいはずがない。ましてや法秩序の維持を担う法務省副大臣を務めていた人物である。

柿沢議員の事件と並行して、自民党派閥の政治資金をめぐる特捜部の捜査が続いている。2つの事件は別とはいえ、「政治とカネ」に関する順法意識の欠如は通底している。同党が本当に自浄能力を発揮できるのか、厳しく見定めたい。

参院選広島選挙区の買収事件では、特捜部の検事が取り調べで供述誘導をした疑いが浮上し、最高検は調査の結果、「不適正だった」と認めた。同じ轍(てつ)を踏まないよう、検察は丁寧な捜査を尽くしてほしい。