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⭐️《社説》中国は強い措置で外国人守れ

社説]中国は強い措置で外国人守れ
 
 
#社説 #オピニオン #中国邦人襲撃
2024/9/20 2:00
 
死亡した日本人学校の児童が男に襲われた現場=19日、中国広東省深圳市(共同)
中国広東省深圳市で日本人学校に通う小学生男児が中国人の男に刺殺される痛ましい事件が起きた。弱者を狙う卑劣な凶行を強く非難する。中国政府は今すぐ自国民に向けて外国人の安全確保の重要性を訴える強いメッセージを発すべきだ。そうでなければ悲惨な事件が繰り返される恐れがある。

中国では刃物で外国人を襲う事件が相次ぐ。6月には江蘇省蘇州で日本人母子らが切りつけられ、日本人学校バス案内役の中国人女性が死亡した。吉林省吉林市でも米国人大学教員4人が刺された。

中国当局はいずれの事件でも詳細を明らかにせず、報道も統制している。一般国民は外国人が各地で襲われた事実さえ十分、把握していない。中国外務省報道官が「外国人の安全を守るため引き続き有効な措置をとる」など毎回、似た対外発信をするだけでは事態の改善は到底、望めない。

いまこそ中国の共産党指導部・政府が一体で、髙いレベルから自国民に呼び掛けるべきだ。必要なのは凶行を絶対に許さない強い決意の発信と、実効性を伴う外国人の保護措置である。

「中国のシリコンバレー」と呼ばれる深圳市には日本企業も多いが、家族帯同での中国赴任を避ける雰囲気が広がる。この状態が続けば外資の中国事業縮小や撤退が加速しかねない。

習近平体制は中国独特の「国家安全」を偏重してきた。とはいえ外国人が安心して住んで働ける環境の整備こそが、中国の利益と安全につながるのも事実だ。

男児を狙った男の犯行動機は不明である。ただ9月18日は満州事変の発端になった柳条湖事件が起きた日だ。歴史の記憶は重要である。だからといって今、中国に住む日本人らが身の危険を感じる事態を放置してよいはずはない。

岸田文雄首相は「中国側に事実関係の説明を強く求めるよう指示した」と語った。それだけでは不十分だ。中国指導部に邦人ら全外国人の安全確保に向けた実効ある措置を強く要求すべきである。