バンブーズブログ

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⭐️石破総裁に期待する事

[社説]石破新総裁は行動で信頼を取り戻せ
 
党首選2024
#社説 #オピニオン #自民党総裁選2024
2024/9/28 2:00
 
自民党の新総裁に選出された石破茂氏(右)と岸田首相、高市早苗氏(左)=27日、党本部
自民党の新総裁に石破茂氏が選ばれた。10月1日召集の臨時国会で102代目の首相に就任する運びだ。裏金問題で傷ついた党の信頼回復を急ぎ、日本が直面する国内外の重要課題の解決に指導力を発揮してもらいたい。

今回の総裁選は岸田文雄首相が出馬を見送り、過去最多の9人が立候補した。上位2人の決選投票で、1回目投票で2位だった石破氏が高市早苗氏を逆転した。

成長戦略の具体化急げ

主要派閥の解散で組織の縛りが解け、多様な人材が活発に政策論争を交わしたことは評価できる。ただ終盤では候補者が有力なベテラン議員に支援を仰ぐ動きも目立った。今後は旧派閥への配慮や論功行賞ではなく、実力本位の人材登用を徹底してほしい。

石破氏は27日夜の記者会見で、派閥の裏金問題をめぐり「自民党が極めて厳しい状況にあることはよく承知している」と述べ、真摯な取り組みを強調した。

先の通常国会でパーティー券購入者の公開基準額の引き下げなどを盛り込んだ改正政治資金規正法が成立したが、資金の流れを監査する第三者機関の制度設計など詰めの作業はこれからだ。

総裁選では複数の候補者が政策活動費の廃止や調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途公開に言及した。新執行部は今回の議論を放置せず、裏金問題の真相究明と再発防止への行動が求められる。

総裁選の政策論争では日本の成長力強化と持続的な賃上げ実現で様々な発言があった。生煮えの提言も目立ち、政策の中身を詰めていく努力が重要となる。

石破氏は「地方こそ成長の主役」と訴え、①デジタル技術を活用した大規模な地方創生②スタートアップ企業の支援拡充や投資促進の税制改革――などを例示した。従来型の交付金補助金を増やす発想では経済の活性化は程遠く、人口減社会を乗り切れない。持論である「防災省」新設を含め、政策の肉付けが急務となる。

石破氏は金融所得課税の強化にも言及し、「貯蓄から投資の流れに水を差す」との批判を招いた。少額投資非課税制度(NISA)などへの課税強化という誤解を生んだ点は反省すべきだが、税の公平性をどう保つべきかは重要な問題提起といえる。

小泉進次郎氏らが言及した解雇規制の見直しも、議論をタブー視すべきではない。労働市場流動性を高めて成長分野に多くの人材を移動させる取り組みは重要だ。企業によるリスキリングや再就職支援のあり方を含め、議論を加速していくべきだろう。

社会保障改革をはじめ長期的な視点の議論が乏しかったのは残念だ。新政権は一時的な給付や減税の発想を脱し、財政の持続性を高めて国民の将来不安の解消につながる議論を進めてもらいたい。

外交・安全保障は引き続き喫緊の課題である。中国やロシアは周辺国を軍事的に威圧し、軍用機による領空侵犯が相次いだ。北朝鮮も核・ミサイル開発を継続し、地域情勢は緊迫している。

石破氏は防衛政策に詳しく、岸田政権が進めた防衛力の抜本的強化を引き継ぐ考えを示している。他方、総裁選ではやや唐突感がある提案もあった。

外交安保で対応強化を

石破氏は「アジア版NATO北大西洋条約機構)」の創設構想に触れ、中国を念頭に欧州のような集団防衛体制の確立を主張した。与党内にも時期尚早との声があり、周辺諸国に与える影響も大きい。米国の新政権とも緊密に連携し、国際情勢の変化を踏まえた丁寧な議論を求めたい。

日中関係は中国の強引な海洋進出や中国内での日本人児童の刺殺事件などできしんでいる。地域の平和と安定のために重要なのは、隙のない抑止と緊密な対話を両輪としたバランスだ。

総裁選では保守的な考え方で知られる高市氏が、国会議員票と地方票の双方で大きく支持を伸ばした。新政権は国民の意識変化を認識しつつ、外交や歴史認識をめぐる歴代政権の見解も踏まえた冷静な対応を心がけてもらいたい。

与党内では早期の衆院解散・総選挙が想定されている。立憲民主党公明党でも党首交代が決まった。次の臨時国会は衆参両院の代表質問だけでなく、党首討論予算委員会の質疑を経たうえで有権者の審判を仰ぐのが筋だろう。