バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

⭐️《トランプ次期政権》

[社説]分断修復めざしたバイデン米政権の挫折
 
 
#トランプ次期政権 #社説
2025/1/9 19:05
 
バイデン米政権の4年は米国の陰陽を浮き彫りにした=AP
民主主義や経済の再生、国際社会における指導力の回復、そして国民の結束。バイデン米大統領は4年前の就任にあたってこんな理想を掲げた。退任が20日に迫った今、その多くは残念ながら志半ばに終わったと言わざるを得ない。

政権発足時に直面していた新型コロナウイルス禍を克服し、主要国で「一人勝ち」と称されるまで経済を立て直したのは成果だ。半面、コロナ対策の副作用でもある歴史的な高インフレへの対処は後手に回った。分断の土壌となってきた経済格差の改善もほとんど進まなかった。

トランプ前政権から引き継いだ保護主義的な政策が一向に改まらなかったのは問題だ。グローバル化に取り残された白人労働者層に目配りする目的は理解できる面もあったが、弊害の方が目立つ。日本製鉄によるUSスチール買収阻止の命令はその象徴である。

外交では国際協調を重視し、ウクライナ支援や気候変動対策で指導力発揮をめざした点を評価したい。日本と韓国を交えた3カ国連携を主導したのも称賛に値する。ただ、パレスチナ自治区ガザの紛争は十分な手を打てず、中東危機の拡大を防げなかった。過度のイスラエル寄りの姿勢が新興・途上国の不信を招いたのは失態だ。

これは国際秩序を揺るがす振る舞いを続ける中国やロシアといった権威主義国家との競争でも不利に働いている。「民主主義を守る」と宣言してきたバイデン氏にも誤算だったに違いない。

これら内政や外交政策の巧拙とも密接に絡み合う米国の分断は深まる一方だ。上院議員を36年務め、米議会での超党派協力の伝統を知るバイデン氏も任期途中からはその修復を半ば諦めたようにもみえる。トランプ次期大統領の支持者を「ごみ」呼ばわりするかのような発言をしたのはその一例だ。

米国では、バイデン氏の最大の功績は2020年の大統領選でトランプ氏の再選を阻んだことだとの評があった。昨年11月の大統領選で撤退の判断が遅れ、結果的にトランプ氏の復権を許すことになったのは皮肉というほかない。

後を継ぐトランプ氏はデンマークグリーンランドの獲得に軍事力行使も排除しない姿勢を示すなど、早くも物議を醸す言動を連発している。歴史家が後世に判断するバイデン氏の評価は、トランプ次期政権を経た米国の姿によっても左右されよう。