バンブーズブログ

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[社説]G7は広島サミットでも対中ロで結束を


 
 
#社説
2023/4/20 2:00
G7外相会合では対中ロで結束を確認した
主要7カ国(G7)が長野県軽井沢町で外相会合を開き、法の支配に基づく国際秩序の維持をめざすと一致した。力による一方的な現状変更を試みる中国やロシアに対抗する狙いだ。5月の首脳会議(広島サミット)でも引き続きG7の結束を示してもらいたい。

今回の外相会合の主な議題は、ロシアのウクライナ侵攻と台頭する中国への向き合い方だった。共同声明でウクライナからの即時、無条件の撤退をロシアに要求したのは当然だ。南シナ海などで強権的に振る舞う中国に懸念を直接伝えると記したのも評価できる。

G7は今後の会合で「インド太平洋」をテーマにした討議の定例開催を決めた。欧州諸国は近年、この地域への関与を強めてきた。地理的にアジアから遠い欧州の関与を継続させる効果が見込める。

この点、気がかりなのは台湾を巡るフランスのマクロン大統領の発言だ。訪中にあわせたインタビューで「欧州は米中の追随を避けるべきだ」と表明した。この問題で米国と距離を置くかのようにも受け取れ、到底理解しがたい。G7の足並みが乱れれば、中国の挑発行為を招きかねない。

マクロン氏は広島サミットに出席する見通しだ。対中ロでG7首脳の結束が揺るがないよう、岸田文雄首相は議長として指導力を発揮してほしい。

インドに代表されるグローバルサウス(南半球を中心とした途上国)との協力拡大も打ち出した。対中ロはもちろん、食料危機やエネルギー高騰といったグローバルな課題はG7だけでは対処できない。西側諸国、中ロの間で中立的な立場をとるグローバルサウスとの連携が欠かせない。

首相は4月末からの大型連休にエジプトなどアフリカ4カ国を、林芳正外相はペルーなど中南米4カ国をそれぞれ訪れる。いずれもグローバルサウスに属する国々だ。サミットに向けて各国との協力を深めてもらいたい。

軍縮では中国に核戦力の透明性向上を求めた。ロシアが核の脅しを繰り返し、北朝鮮は核ミサイル開発を加速している。残念ながら核軍縮の機運は盛り上がっていない。日本も米国の「核の傘」に頼らざるを得ないのが現実だ。

広島が地元の首相はとりわけ「核兵器のない世界」への思いが強い。サミットではその実現への道筋を示し、国際世論を喚起する力強いメッセージを聞きたい。