バンブーズブログ

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民意が示された‼️

[社説]補選全敗で崖っぷちに立った岸田政権
 
 
#社説 #オピニオン
2024/4/29 2:00
 
岸田首相は衆院島根1区の応援に2度入ったが、自民党公認候補の勝利には結びつかなかった(27日、松江市) =共同
衆院の3補欠選挙で、自民党は候補者を立てられなかった2補選を含め、すべてで敗北を喫した。自民党派閥の政治資金問題をめぐる生ぬるい対応などに、厳しい民意が示されたといえよう。

支持率が低迷する岸田文雄首相にとって打撃は深刻だ。9月の自民党総裁選に向け、政権運営は崖っぷちに立たされた。敗北を真摯に受け止め、まずは政治資金問題の実態解明と、連座制を含む抜本改革に本気で取り組まなければ、展望は開けまい。

今回は派閥の資金還流や不記載が発覚後、最初の国政選挙だった。唯一の与野党対決となった島根1区は自民党の地盤が厚い保守王国だが、小選挙区になって初めて自民党が敗れた。支持者に「今回ばかりは自民党に投票できない」との声が目立ったことを他の保守王国も肝に銘じるべきだ。

自民党は批判の高まりから東京15区と長崎3区で候補者を擁立できず「不戦敗」となった。政権与党が国政選挙で選択肢を示せないのは民意を問う責任の放棄であり、政治不信を助長する。両選挙区の投票率が低迷した責めの一端は自民党が負わねばなるまい。

首相は総裁選を有利に戦うため、その前に衆院解散・総選挙に踏み切るとの見方がある。だが早期の衆院選は苦戦が予想され、与党内で解散に慎重な勢力との綱引きが激しくなる可能性がある。賃上げや物価高対応をはじめ経済運営の重要性が増しており、政策への目配りを忘れてはならない。

野党は候補者を一本化した島根1区で勝利した。次期衆院選に向け、野党が選挙協力すれば自民党に勝る余地があることを改めて示したといえる。ただ現状では野党第1党の立憲民主党と同第2党の日本維新の会の足並みはそろっていない。自民党不信が高まっているときこそ、野党の戦い方が選挙結果を大きく左右する。

政治不信の増大は既成政党への不満を高めかねない。有権者の政治離れを招く一方、極端な主張をする勢力への期待を膨らませる可能性がある。日本では欧州のようなポピュリズムや極右政党は目立たなかったが、そうした芽が生まれつつないか注視したい。