バンブーズブログ

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[社説]統一地方選のあり方を見直す時期だ


 
 
#社説
2023/4/24 19:05
女性首長が増えつつあるのは朗報だ(群馬県榛東村長選で初当選した南千晴氏、23日)=共同
統一地方選のあり方を見直す時期にきたのではないか。20回目を迎えた統一地方選は、歯止めのかからない投票率の低下や、深刻な首長や議員のなり手不足という厳しい実情を浮き彫りにした。

投票率は軒並み過去最低を更新し、50%割れの選挙はもはや当たり前になった。制度的な改善が求められる段階といえよう。

まず選挙の再統一を考えたい。一斉に行うのは経費縮減とともに全国的な関心を高め投票を促すためだ。今は3〜5月に任期が満了する選挙が対象だが、この期間を広げてはどうか。

任期短縮は難しいが、任期を延長し選挙を統一地方選まで待つのは比較的合意を得やすいだろう。知事選は今回9件だが、前年10月以降に任期満了を迎える知事まで広げれば16件、前年4月以降なら22件と半数近くに増える。

市町村の選挙は平成の大合併統一地方選と2年ずれたところが多い。ミニ統一地方選とよばれ、前後の選挙をまとめてもよい。

さらに問題なのが無投票当選の増加だ。市区町村の首長選で26市区70町村、議員選は14市123町村に上った。首長も議員も無投票だったところが32市町村あり、このうち16町村は道県議選も投票がないトリプル無投票である。

なり手不足は道府県議と町村議に著しいが、これは分けて考えたい。都道府県議会は定数削減の余地がある。無投票は議会の正統性に関わる問題だと認識し、選挙制度を含め真摯に改善すべきだ。

町村議は定数を減らしても候補が見つからず、引退を撤回した高齢の現職も目立つ。報酬引き上げや兼業緩和も効果は芳しくなく、定数割れは20町村と2倍以上に増えた。人口減少で選挙が成り立たなくなりつつあるといえる。

町村の選挙が形骸化しやすいのは、顔見知りの争いになり、地域の分断を懸念する面もあろう。だが住民自ら地域を治める地方自治で大切なのは住民参加であり、選挙はその重要な手段だ。

無投票は合併していない町村に多い。合併に抵抗が強いのはわかるが、今後も単独の自治体で残るなら議会のあり方を考える必要があるのではないか。

総務省は町村議会の姿として①少数精鋭で報酬を高くする②議会の役割を縮小し兼業主体にする――の2つを示したことがある。人口減少時代の選挙制度や地方議会のあり方を幅広く議論したい。