バンブーズブログ

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[社説]女性が力発揮する日本企業に


 
 
#社説 #オピニオン
2023/6/26 2:00
女性の力を生かすには包括的な取り組みがいる(25日、栃木県日光市で開いたG7男女共同参画・女性活躍担当相会合の集合写真=内閣府提供)
職場で男女がともに力を発揮できているか、という観点からみると、日本は先進国として失格だ。世界経済フォーラムの2023年のジェンダー・ギャップ指数で、日本は過去最低の125位だった。政治の分野が138位と特に低迷しており、経済の分野でも123位と足を引っ張っている。

男女共同参画白書によると、日本の就業者の45%は女性だ。しかし、管理職の女性比率は12.9%にとどまる。3割以上が多い海外との差は歴然としている。

日本の女性の正規雇用比率は20代後半をピークに30代から下がる「L字カーブ」を描く。勤続年数が短くなり、ポストや収入の低さに直結しがちだ。女性の「いま」だけでなく、低年金のかたちで将来にも影響する。

栃木県日光市で25日まで開いた主要7カ国(G7)男女共同参画・女性活躍担当相会合は、全ての女性の労働市場と経済への完全で平等な参加の達成が「喫緊の課題」だとする声明を出した。日本も変革を加速すべきだ。

女性がキャリアを築きやすくするには、先進国のなかで飛び抜けて大きい家事・育児分担の偏りを見直すとともに、職場を変える必要がある。硬直的な長時間労働にメスを入れ、柔軟な働き方を広める。管理職の意識や職場風土に課題はないかをていねいに点検する。女性人材の計画的な育成・登用を進めることが欠かせない。

いまや内外の多くの投資家が、女性役員がいない企業のトップ選任に反対する方針を示している。政府も東証プライム上場企業に対し、30年までに女性役員比率を30%以上とするよう促す方針を決めた。多様性を生かしてこそ、企業の成長につながるはずだ。

女性の力を生かす方針は以前から言われてきた。小泉政権は03年、20年までに「指導的地位の女性割合を30%に」との目標を掲げ、13年には安倍政権が「女性の活躍」を政策の一つの柱にした。だが歩みはあまりにも遅い。これ以上の後れを取ることはできない。