バンブーズブログ

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[社説]ザポロジエ原発の惨事を防げ


 
 
#ウクライナ侵攻 #社説
2023/7/7 2:00
ザポロジエ原子力発電所はロシア軍が占拠している(6月15日)=ロイター
ウクライナで再びチェルノブイリ原子力発電所のような惨事を引き起こすつもりなのか。しかも今度は過失ではない。人類の愚かさを象徴する取り返しのつかない出来事となる。なんとしても防がねばならない。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍が占拠する南部のザポロジエ原発の原子炉建屋の屋根に、爆発物のようなものが設置されたとの情報があると公表した。原発からロシア側の職員が退避を始めたともいう。

ロシアは攻撃を仕掛けようとしているのはウクライナ側だと反論している。

情報戦の一環かもしれないが、危険な兆候だ。そもそも戦闘を有利に運ぶために原発を盾として利用すること自体が論外だ。意図せぬ攻撃で損傷する懸念もある。

国際原子力機関IAEA)は立ち入り検査を求めた。ロシア軍は即刻、原発武装解除し、要求を受け入れねばならない。

ザポロジエ原発は6基すべてが運転停止しているが、大量の使用済み核燃料が存在し、常時冷やす必要がある。原子炉は頑丈な構造物で爆発によって容易には破壊されない。しかし、冷却装置が壊れたり、電源を失ったりすれば高温になり、最終的には溶解し、放射性物質が拡散する懸念がある。

そうなればウクライナのみならず、欧州、ロシアなどにも深刻な被害が及ぶ可能性があり、経済的な損失は計り知れない。

国際社会は監視を一層強めねばならない。実行犯は特定され、大きな代償を払うことになると警告し、圧力をかけることが重要だ。

ロシアは原子力分野でリーダー的存在だ。優秀な科学者を輩出している。現在のザポロジエ原発がいかに危険な状況かを熟知しているはずだ。それを見過ごすことは原子力大国の地位が失墜するに等しいと認識すべきだ。

6月にはロシア軍が占拠するカホフカ水力発電所のダムが決壊し、甚大な被害を出した。さらなる悲劇を起こしてはならない