バンブーズブログ

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「試しにやってみよう」、ウクライナへ逃亡したロシア軍ヘリのパイロットが当時の心境振り返る


 
配信 2023年9月5日 11:42更新 2023年9月5日 14:51
Delil Souleiman/AFP/Getty Images/FILE

(CNN) 先月ウクライナへ逃れてきたロシア軍のヘリコプターのパイロットが、Mi8戦闘ヘリに乗って国境を越えるという大胆な行動の詳細を明らかにした。ウクライナ国防省の情報総局が4日に公表したインタビューで語った。

ウクライナ当局がマクシム・クズミノフと呼ぶこのパイロットはインタビューに答え、国外脱出を計画した経緯と、そうしなければならないと感じた理由を説明した。


ウクライナの諜報(ちょうほう)機関の代表者に連絡を取り、こちらの状況を説明した。向こうが提示した選択肢はこうだった。『来ればいい。身の安全も新しい書類も保証する。金銭的な補償も受け合う。つまり報酬だ』」と、このパイロットは語った。

 
ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長は8月、当局者らがどのようにしてパイロットの脱出を支援したか明らかにしていた。

同氏はラジオ局のインタビューに答え、「我々の作り出した状況により、彼の家族は全員気付かれずに国外へ脱出できた。最終的に本人が機体を使用する状況も作り出せた。事情を知らない乗組員も一緒だったが」と述べた。

「他に2人の同乗者がいた。計3人の乗組員がいたことになる。どこに着陸したか気付いて逃げようとしたため、残念ながら彼らは排除された。我々としては彼らを生かして(捕らえて)おきたかったが、やむを得なかった」(ブダノフ氏)

4日公開のインタビューの中で、パイロットは飛行中「国境の近くにいると分かって、位置を伝えた。『試しにやってみよう。それほど遠くにはいない』。そう言って、最後の決断を下した。高度を極端に下げ、無線封止をした。同乗者は何が起きているのか全く分かっていなかった」と述べた。

パイロットによると、この後機体をウクライナに着陸させ、同国の当局者に会ったという。

インタビューの状況は不明だが、パイロットは自由に発言しているとみられる。

脱出当時、ロシアのSNSテレグラムのある非公式チャンネルは、1機の軍用ヘリMi8がウクライナへ向けて飛行し、中部ポルタバ州に誤って着陸したと伝えていた。


「これまでこんなことは誰もしていなかった。ただ、ここから数を増やしていければいい」とブダノフ氏は話していた。


新たなインタビューの中で、このパイロットはウクライナ侵攻にまつわるロシア側の誤情報にも反論。「事実、ナチスファシストもここにはいない。現地で起きているのは本当に恥ずべきことだ。殺人が犯され、涙と血が流れている。人々がただ殺し合っているだけだ。自分にこれ以上判断できることはないし、その一端を担いたくもない」と訴えた。

「今起きているのはウクライナ人のジェノサイド(集団殺害)でしかない。ウクライナ人とロシア人両方の。自分の行動の動機は、このような犯罪に加担しないようにすることだった。ウクライナがこの戦争に勝利するのは明らかだ。とにかく国民が団結しているから。以前はこのようなことはなかったが、今は非常に団結している。世界中が彼らを支援しているのは、何よりもまず人の命こそが尊重されるべきだからだ」

パイロットはまた、軍にいる他のロシア人たちにもウクライナへの脱出を強く呼びかけた。

CNNはパイロットの身元を確認出来ていない。ただ独立系のロシアのテレグラムチャンネルは、クズミノフ氏のソーシャルメディアのプロフィルを見つけたと発表。東部軍管区第319独立ヘリコプター連隊所属の攻撃パイロットだと明らかにした。

ウクライナ国防省との強いパイプを持つジャーナリスト、ユーリイ・ブトゥソフ氏は、これに先駆け「当該のヘリには全く損傷がない。この後、装備の詳しい点検を済ませてからウクライナ軍に編入される予定だ」と報じていた。