バンブーズブログ

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[社説]法廷では決着しない基地問題


 
 
#社説 #オピニオン
2023/9/5 2:00
 
手前がこれから埋め立てられる大浦湾。左上部は埋め立てが進んだ区域(5月、沖縄県名護市辺野古)=共同
沖縄の米軍普天間基地を移設する名護市辺野古沖で、止まっていた埋め立て工事が再開されることになりそうだ。地盤改良の必要から国が工法変更の承認を求め、沖縄県が拒否したことをめぐる訴訟で、最高裁は4日、国側の主張を認める判断を確定させた。

政府は工事の手続きを進める方針だが、基地問題は法廷では決着しない。台湾有事に備えた安保体制を確かなものにしていくには、戦略的に重要な沖縄の協力が不可欠だ。政府には沖縄と対話を深め、基地負担を減らしていく姿勢がこれまで以上に求められる。

国と沖縄県との訴訟合戦は、安倍晋三菅義偉両政権下で政府に「辺野古移設は粛々と進める」と突き放すような姿勢が目立ち、県側をかたくなにさせたことが一因だ。岸田文雄政権にそこまでの冷たさはないが、対話が深まっているとは言いがたい。

沖縄県玉城デニー知事は、辺野古移設に反対する姿勢を変えていない。ただ、これまでの沖縄県政を振り返れば、基地問題保守系知事が政府方針に反発したり、革新系知事が現実的に対応したりしたこともあった。政府側から県民感情を理解しようと寄り添うことが協力を得る一歩だ。

安全保障上、沖縄の重要性が高まっているのは確かだ。だが、それでも在日米軍の専用施設の7割が、国土面積の1%に満たない沖縄県に集中しているのは偏りすぎだ。これを放置していては沖縄の協力は期待できない。

在日米軍の沖縄への集中は、中国がミサイルの性能を高めていけば米軍の脆弱さにもつながる。米軍の分散や自衛隊の増強が進むなかで、沖縄の負担を減らす道を政府は真摯に探るべきだ。

それには国全体で負担を受け入れることが欠かせない。政府はこうした調整にも力を尽くす必要がある。国民全体に基地の偏在を是正しようとする姿勢が見えてくれば、沖縄の県民感情も和らぎ、基地問題に現実的に対処する機運も生まれてくるのではないか。