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2023/9/20 2:00
第2次岸田再改造内閣では副大臣・政務官にすべて男性が起用された(15日、首相官邸。副大臣らの記念撮影)
第2次岸田再改造内閣の副大臣・政務官の計54人に女性はゼロだった。閣僚は過去最多に並ぶ5人が就任したとはいえ、これでは女性登用への本気度が問われる。派閥順送りや年功序列型の人事を改め、なにより女性議員の数を着実に増やしていく努力がいる。
内閣改造前は女性が副大臣26人のうち4人、政務官が28人のうち7人いた。近年は全体の1〜2割程度を女性が占め、副大臣・政務官の「女性ゼロ」は異例だ。
岸田文雄首相は副大臣・政務官人事について記者団に「チームとして人選を行った結果だ」と語った。人材登用は対外的なメッセージでもある。計54人が全て男性という顔ぶれを見て、バランスを欠くと感じた政府や与党の幹部は誰もいなかったのだろうか。
副大臣や政務官のポストは、将来の人材育成の意味も大きい。自民党関係者によれば、当選回数と未経験者を優先した各派閥からの推薦に女性の有力候補がいなかった事情が背景にあるようだ。
自民党は党所属の国会議員の女性割合を現在の12%から10年間で30%まで引き上げる目標を示す。新たに衆院選に立候補する女性候補者に1人あたり100万円を支給する支援策も打ち出した。
こうした取り組みは大事だ。しかし女性が少ない根底には「政治は男性のもの」という意識や、女性の社会進出を阻む偏った家事・育児分担などがある。
政治家は有権者や同僚議員からハラスメントを受けることも多いとされる。固定的な役割分担意識や政治を志す女性への差別、偏見をどうなくしていくか。与野党に課せられた大きな課題だ。
日本は世界の中で女性の活躍が遅れている。世界経済フォーラムが6月に発表した2023年のジェンダー・ギャップ指数では日本が146カ国中125位だった。政治分野は138位と特に低い。
女性登用の低迷打破に向け、候補者などの一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」を含め、前向きな議論を始める時期だ。