バンブーズブログ

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[社説]企業の情報開示速める契機に


 
 
#社説 #オピニオン
2023/9/30 2:00
 
2024年11月から株式の取引終了時間は午後3時30分になる(30分の時間延長を決めた東京証券取引所
東京証券取引所は2024年11月から、株式の取引時間を30分延ばすことを決めた。システム障害で終日売買できなかった反省から取引時間を長くとるのが直接的な狙いだが、これを取引の活性化につなげる契機にしたい。

午後3時の取引終了時間が午後3時30分になる。東証が取引時間を延ばすのは70年ぶりだ。影響する範囲は広く、上場企業や投資家、証券会社、システム会社などと連携して万全を期してほしい。

当初はもっと長くする議論もあったが、事務負担の問題などから30分にとどめた経緯がある。投資信託で基準価格を算出するのに伴う事務作業の重さも理由の一つだ。業務をより効率化する取り組みが引き続き大事になる。

1日の取引時間は5時間30分になるが海外と比べれば短い。ニューヨークが6時間30分、ロンドンは8時間30分だ。世界から取引を呼び込むにはもっと長くていい。さらなる延長の議論も続けたい。

今回の延長で考えたいのが、上場企業の情報開示の迅速化だ。

現状は大多数の企業が決算などの情報を午後3時を待って開示している。東証によると23年3月期の決算発表では78.2%が午後3時以降だった。トヨタ自動車など取引時間中の発表は少数だ。

いまや情報は世界へ瞬時に伝わる。取引終了後の開示だと、決算への反応が東証ではない私設取引所や海外の市場が先になってしまう。多くの投資家が翌朝まで取引を待たねばならないままでは健全な価格形成とはいいがたい。

米国では多くの企業が取引開始前の朝方に決算を発表する。個々の企業で取締役会などの時間は異なるだろうが、例えば昼休みの時間帯での開示も選択肢だろう。

本来、重要情報について社内の手続きが終われば適時開示が求められる。それはインサイダー取引のリスクを防ぐ意味もある。

時間延長に合わせて発表を遅らせるのではなく、前倒しして市場で速やかに伝える。そうした姿勢こそ株主重視の経営といえる。