バンブーズブログ

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[社説]連合は賃金・雇用で指導力を

連合とは、1989年に結成された日本最大の労働組合の全国中央組織(ナショナルセンター)である「日本労働組合総連合会」の略称
 #社説 #オピニオン
2023/10/11 2:00
 
連合の定期大会で再任され、あいさつする芳野友子会長(中央右、6日午前、東京都新宿区)=共同
連合は5〜6日に定期大会を開き、芳野友子会長が2期目に入った。賃上げの加速に向けて労働組合の役割は重みを増す。雇用形態の多様化や働き方改革、政治への対応を含めて、連合の指導力が問われている。

労組の組織率は今や16%台半ばまで低下した。1989年の発足時に800万人いた連合の登録人員は700万人を割った。非正規など雇用形態の多様化と働き手の意識の変化に、十分対応しきれなかったことが背景にある。

今春の約30年ぶりとなる高水準の賃上げ実現は、労組が存在感を取り戻すきっかけになりうる。連合は社会が変化する中でも雇用を守り、労働条件を改善する原点に立ち、活動していくべきだ。

物価高で実質賃金はマイナスが続き、来春の労使交渉は極めて重要になる。連合が今春に掲げた「5%程度」の賃上げ要求方針は前年を1ポイント上回るにとどまり、意欲的だったとは言えない。

非正規の待遇改善を推し進め、立場が弱いフリーランスの人たちを組織化することも重要な課題だ。賃上げを中小企業に波及させるためには、労務費を適正に価格転嫁できるよう経済界に働きかける役割も求められる。

所得水準を引き上げるには成長分野への労働移動が欠かせない。北欧諸国などでは職業訓練のカリキュラム作りに労組が参画する。雇用の安全網を整えるためにも、連合は労働市場改革に積極的に関わっていくべきだ。

岸田文雄首相は今回の定期大会で《自民党政権の首相として16年ぶり》にあいさつし、持続的な賃上げの重要性を訴えた。岸田政権は電機連合出身の元参院議員を9月に首相補佐官に起用するなど労組票の取り込みに積極的だ。

雇用形態の多様化やデジタル化の進展に機敏に対応するには、前例踏襲にとどまらない柔軟な発想が必要となる。[連合は立憲民主党や国民民主党への支援と並行し、政策実現に向けて政府・与党とどう向き合うかも課題となる]