バンブーズブログ

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[社説]政治の信頼損なう不祥事続出


 
 
#社説 #オピニオン
2023/11/1 2:00
 
柿沢法務副大臣の辞任について参院予算委で陳謝する岸田首相(31日)
柿沢未途法務副大臣が選挙応援した候補の公職選挙法違反事件への関与をめぐり辞任した。岸田文雄内閣は文部科学政務官だった山田太郎氏も女性問題で辞任したばかりだ。政治の信頼を損なう不祥事の続出は残念であり、緊張感を持って国政に臨んでほしい。

柿沢氏は4月の東京都江東区長選で、木村弥生区長側が公選法違反の有料インターネット広告を出した際に提案したとされる。木村区長は辞職の意向を表明し、柿沢氏はネット広告が違反とは認識していなかったと説明している。

首相は31日の参院予算委員会で「任命権者としての責任を重く受け止めている。国民の信頼を回復できるよう与えられた課題に全力で取り組んでいく」と述べた。小泉龍司法相は柿沢氏に説明責任を果たすよう伝えたという。

野党は柿沢氏本人の国会での説明を求めた。政府側は調整の不備もあって出席に応じず、参院予算委の審議が一時空転した。

柿沢氏は江東区が選挙区の衆院東京15区選出で、9月に法務副大臣に就任した。現内閣では文科政務官だった山田氏が女性との不適切な関係をめぐる週刊誌報道をきっかけに辞任した。内閣支持率が33%に急落するなかの相次ぐ辞任劇は政権への打撃となる。

自民党は2012年の政権復帰後、「政治とカネ」や選挙違反をめぐる事件や不祥事が次々と浮上している。昨年10〜12月には2カ月余りで4人の閣僚が次々に辞任し、理由はずさんな政治資金の管理や公選法違反の疑い、失言など様々だった。

内閣改造のたびに政務三役の不祥事が明るみに出る状況は、もはや個々の所属議員の資質の問題というレベルを超えている。自民党の再発防止策や講習会は効果が十分に出ておらず、綱紀粛正へのさらなる取り組みが必要だ。

不毛な辞任劇で国会審議の時間を浪費している余裕はない。重要課題への取り組みも有権者の信頼が土台であることを政府・与党は改めて肝に銘じてもらいたい。