バンブーズブログ

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《パレスチナ関連記事》[社説]G7はガザ戦闘休止へ具体的行動を急げ


 
 
#社説 #オピニオン
2023/11/10 2:00
 
上川陽子外相(中)らG7外相はガザでの戦闘の人道的休止を支持する共同声明をまとめた
主要7カ国(G7)が都内で外相会合を開き、パレスチナ自治区ガザでの人道支援のために戦闘を一時的に止める「人道的な休止」を支持する共同声明をまとめた。イスラエルイスラム組織ハマスの衝突を受け、G7が統一したメッセージを出したのは初めてだ。

ガザはおびただしい数の民間人の犠牲者を出し、人道危機が深刻になっている。G7は事態の早期収束に向け、具体的な行動を急がなければならない。

共同声明はハマスによるテロ攻撃を非難し、人質の即時解放を要求した。国際法を順守する重要性やイスラエルの「自国や自国民を守る権利」も明記した。

衝突が始まって以降、これらの項目でG7の足並みが必ずしもそろっていたわけではない。米国や英国はイスラエル寄りの姿勢が目立ち、アラブ諸国との関係も重んじる日本などと温度差があった。今回の会合で日本が議長国として責任を果たし、一定程度の結束を示せた点は評価する。

ただ、人道的な休止はパレスチナの人々への支援を目的とした短期間の戦闘休止にすぎない。これを早く恒久的な停戦につなげ、将来の中東和平に道を開く環境を整備しなければならない。

大事なのは具体的な行動だ。G7はイスラエルにはもちろん、周辺の中東諸国を含めた外交努力を積み重ねるべきだ。

気がかりなのはイスラエルの動きだ。同国のネタニヤフ首相はバイデン米大統領からの3日間の戦闘中断の要請に応じなかったと伝えられる。イスラエルを軍事的に支援する米国は、あらゆる手段を用いて自制を促すべきだ。

上川陽子外相はイスラエルパレスチナ、エジプトなどを訪れ、人道支援を表明した。さらに積極的な働きかけに努めてほしい。

G7がウクライナ支援と対ロシア制裁の継続を改めて申し合わせたのは当然だ。中東情勢への対応を理由に、ウクライナ支援が滞るようなことがあってはならない。

米欧がウクライナと中東の二正面の対応に追われ、インド太平洋地域で力の空白が生じる懸念もある。共同声明はこの地域で覇権主義的な行動を続ける中国に懸念を直接伝えるべきだと指摘した。

来週は米国でアジア太平洋経済協力会議APEC)首脳会議が開かれ、G7や中国の首脳が一堂に会する。中国と安定的な関係をつくる首脳外交の機会にしたい。