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《パレスチナ関連記事》戦闘休止実現しガザの危機悪化を避けよ

[社説]戦闘休止実現しガザの危機悪化を避けよ
 
 
#イスラエルハマス衝突 #社説
2023/11/21 2:00
 
人道危機が一段と深刻に(19日、パレスチナ自治区ガザ境界のラファ検問所前で待機するエジプトの救急車)=AP
イスラエル軍による激しい攻撃にさらされるパレスチナ自治区ガザの人道危機が深刻さを増している。国連安全保障理事会の決議や主要7カ国(G7)外相声明が求める戦闘の「人道的な休止」を一刻もはやく実現し、悲惨な状況を食い止める必要がある。

イスラエルの軍事目標のひとつは、ガザのイスラム組織ハマスの壊滅だ。北部への攻撃によりガザ人口のおよそ半数を占める住民が南部へと移動した。ただでさえ人口が過密した地域にさらに多くの避難者が押しかけ、水や食料、燃料の不足は一段と深刻になる。

たとえ短い期間でも戦闘が休止すれば赤ん坊や病人ら明らかな非戦闘員への支援が可能になる。アラブ諸国などがハマスに人質解放を説得する時間的余裕もできる。

エジプト国境からガザに搬入される支援物資はまったく足りない。自治区からの避難経路も閉ざされたままだ。難民の流入を警戒するエジプトへの説得や支援に国際社会は力を注ぐ必要がある。

多くの国はイスラエル自衛権をみとめるが、ガザ民間人の犠牲拡大は、国際社会の許容範囲を超えつつある。国連のグテレス事務総長は、国連パレスチナ難民救済事業機関UNRWA)が運営する学校が攻撃されたことに「大きな衝撃を受けた」と批判した。

イスラエルの民間人を殺害し連れ去ったハマスの攻撃は非道なテロであり、どんな事情があろうと正当化できない。自爆テロを主要な戦術としてきたハマスの非人道性はいくら強調しても足りない。人質全員の解放へ関係国を通じた交渉と圧力を重ねる必要がある。

ハマスが民間人を「人間の盾」に使っているからといって、イスラエルが病院や学校への無差別な攻撃を許されるはずがない。イスラエルはシファ病院の突入作戦について「ハマスによる軍事利用」を根拠にしていた。その証拠だと示すものが十分な説得力を持ち合わせているようには見えない。

人道危機の深刻化が、国際社会の同情論を大きく後退させていることをイスラエルは認識する必要がある。

一方、イエメンの親イラン武装組織フーシは紅海で「イスラエルの船」を拿捕(だほ)した。日本郵船がチャーターした自動車運搬船とみられる。欧州とアジアをむすぶ主要な航路の安全に影を落とす事件だ。ガザ衝突が飛び火するリスクにも警戒する必要がある。