バンブーズブログ

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[社説]ガザの戦闘休止復活へ努力を続けよ


 
 
#イスラエルハマス衝突 #社説
2023/12/3 19:05
 
人道危機の深刻化が懸念される(3日、戦闘が再開したパレスチナ自治区ガザから立ち上る煙)=ロイター
流血が止まり、人質が解放され、人道危機が解消に向かうきっかけとなるかもしれない。そんな望みは無情にも絶たれてしまった。パレスチナ自治区ガザにおけるイスラエル軍イスラム組織ハマスによる戦闘の休止はわずか7日間で終了し、ふたたび激しい衝突が広がっている。

戦闘休止は11月24日から12月1日まで続き、この間にハマスが外国人を含む人質105人を解放し、イスラエルパレスチナ人の囚人240人を釈放した。ハマスが連れ去った人質がなお多く残るなか戦闘が再開したことは残念の極みだ。

イスラエル軍はこれまでハマスが支配するガザの主に北部で軍事作戦を展開してきた。今後は避難民の流入で人口が過密状態になった南部への作戦拡大を示唆しており、人道危機がさらに深まるおそれがある。住む家を追われ、食料や水や燃料の深刻な不足に直面する人々にとっては耐えがたい展開にちがいない。

戦闘休止を延長できなかったことについて双方が相手側に責任があると非難した。どちらが先に約束をやぶったのかは分からないが、これによってさらに多くの人命が失われる。無責任な行動であると言わざるを得ない。

戦闘の休止によってガザへの支援物資の流入はわずかとはいえ増加し、一定の危機の緩和がみられていた。

衝突のきっかけとなったハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃は決して許されないテロ行為だった。しかし、ハマスの残虐性はイスラエルによる過剰な報復行動の口実にはならない。1万5千人を超えるパレスチナ側の死者の多くが子どもとされる。

民間人の犠牲拡大や人道危機の深刻化が、国際社会におけるイスラエルへの同情論を後退させている。そのことをネタニヤフ政権は認識すべきだ。ブリンケン米国務長官は民間人が安全でいられる場所を明確に設置するようイスラエルに求めた。

人質解放交渉ではカタールハマスに影響力を行使できることが証明された。イスラエルに自制を求める国際社会の圧力も一定の効果はあった。エジプト経由の人道支援はさらに拡大が必要だ。休戦を復活させ、人質解放や人道危機の解消を実現し、恒久的な停戦と和平協議につなげていく努力を国際社会は続けていく必要がある。