バンブーズブログ

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[社説]連続辞任は順送りのツケだ


 
 
#社説 #オピニオン
2023/11/14 2:00
 
9月の内閣改造後の政務三役の交代は、神田憲次財務副大臣の辞任ですでに3人となった(13日、財務省で記者団の質問に答える神田氏)
個々の政治家の資質を疑わせるだけでなく、内閣改造後の辞任がここまで続くのはもはや構造的な問題だろう。岸田文雄首相の「適材適所」との説明はむなしく響き、自民党の順送り型人事の限界を露呈したといえる。

政府は13日、持ち回り閣議神田憲次財務副大臣の辞任を決めた。神田氏は2013年以降、固定資産税を滞納して計4回の差し押さえを受けたことを認めていた。事実上の更迭といえる。

今国会での政務三役の辞任は3人目だ。文部科学政務官だった山田太郎氏は女性との不適切な関係で10月26日に辞任。31日には柿沢未途氏が公職選挙法違反事件への関与で法務副大臣を辞めた。

神田氏は税金滞納のほか、税理士資格を持ちながら日本税理士会連合会の規定に定められた研修を受けていなかった事実も判明した。3氏それぞれの担当省庁の所管を考えれば、適材適所の失敗を証明するような出来事である。

政府は神田氏の続投の可能性も探ったが、経済対策の裏付けとなる補正予算案の審議への影響を考慮して交代を急いだ。首相は神田氏辞任に関し記者団に「任命責任は重く受け止めている。緊張感を持って職責を果たし、国民の信頼を回復していく」と述べた。

近年は内閣改造のたびに政務三役の不祥事が明らかになり、辞任劇が繰り返されている。昨年10〜12月にもずさんな政治資金の管理や公選法違反の疑い、失言などで閣僚4人が次々に辞めた。

自民党内では当選回数と派閥のバランスに偏重した人事の問題点がかねて指摘されてきた。9月の副大臣政務官人事で当初は計54人全員が男性だったのも、派閥推薦に重きを置いた結果だった。

円滑な組織運営のために年次や有力者の意向を無視できない面はあるだろう。ただ最近の耳を疑うような問題での辞任劇は、旧来型人事の限界を示している。自民党は選挙の候補者選びや実力本位とは程遠い人材登用のあり方を見直す必要があるのではないか。