元東京都港区議の小斉太郎さん(53)は、農業をするために山梨県に移住し、この秋で10年になった。本当は東京でずっと政治家人生を歩むつもりだった。でも、やめた。
1995年に25歳で東京都港区議に初当選し、通算で4期13年務めた。その後、衆院選東京1区や参院選比例区に立候補して国政を目指したが落選した。
ふと思った。「選挙に当選し続けないと生活していけないのは異常だ」。政治活動に区切りを付け、「国の根幹」と信じる農業で生きていくと決意した。
2013年の参院選で落選した直後の9月、東京・赤坂のマンションを出て、妻と小学1年の長男と山梨県甲斐市の借家に移った。県内にチャイムも宿題もテストもない学校があり、それも山梨を選ぶ決め手に。43歳の決断だった。