バンブーズブログ

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[社説]大麻グミの横行防ぐ規制を


 
 
#社説 #オピニオン
2023/11/26 2:00
 
大麻グミをはじめ危険ドラッグの拡散防止が急務だ(「HHCH」の表示があるグミ)=共同
大麻類似の成分を含む可能性があるグミを食べた人の健康被害が、相次いで確認されている。さらなる被害の拡大を防ぐため、的確に規制の網をかけていくことが求められる。

食べた人が救急搬送されるなど問題になっている大麻グミの多くは、含有成分として「HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)」という化合物が包装袋に記載されていた。立ち入り検査などの結果、実際に一部でこの物質とみられる成分が検出されている。

大麻の有害成分と化学構造が似ているものの、これまでは法規制の対象外だった物質だ。意識障害や幻覚といった症状を引き起こす恐れがあるという。

厚生労働省は22日、医薬品医療機器法に基づいて新たに指定薬物に加えた。12月2日から所持や使用、流通が禁止される。問題の拡大を受けて規制に踏み切った判断は妥当だろう。

もっともこうした危険ドラッグを巡っては、化学構造を少しだけ変えて規制の網をかいくぐる手口がこれまで繰り返されてきた。今後も同様に新たなドラッグが現れる可能性がある。

個別の構造に基づいてひとつずつ規制をかけていては、いつまでも「いたちごっこ」が続きかねない。厚労省は類似した構造をまとめて禁止する包括指定を検討しているという。議論を急ぎ、導入に向けた結論をできるだけ早期に出してもらいたい。

一見して危険薬物には見えない危険ドラッグは、グミだけにとどまらない。クッキーやチョコレートといったお菓子のほか、アロマ、バスソルトなど多様な形態で流通している。かわいらしいデザインなどで、若者が興味本位で手に取ってしまう。SNSを通じて簡単に入手できる点も問題だ。

若者を中心に、大麻事犯の検挙件数は過去最悪レベルで推移している。捜査当局による取り締まりの徹底や教育現場での指導強化、水際での輸入阻止など、政策を総動員して対策を進めたい。