バンブーズブログ

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[社説]社会に貢献する学術会議に


 
 
#社説 #オピニオン
2023/12/26 2:00
 
日本学術会議は法人化されることになった
政府は日本学術会議を国の機関から切り離し、法人化する。内閣府有識者懇談会が報告書で「国とは別の法人格をもつ組織にするのが望ましい」と結論づけ、正式に決めた。

国や社会に対し科学的助言や提言を行うための特別な法人格を与える。今後1年ほどかけて、組織の詳細や運営ルールなどを定めていくという。学術会議と協議をしながら社会にとり価値が高いアカデミーに変革してもらいたい。

学術会議の改革は2020年秋、菅義偉政権時代での会員候補6人の任命拒否に端を発した。政府は23年初め、国の機関として残す一方で会員の選び方などを一部変更しようとしたが、学術会議側が「政府の介入だ」と猛反発し仕切り直しになっていた。

欧米のアカデミーも多くが民間の運営形態をとっている。学術会議も国から離れることで自由に活動しやすくなるだろう。行政に対する提言や勧告にとどまらず、国会や民間への科学的助言も可能になる。

学術会議は現在、年間10億円ほどの国の予算が投じられている。事務局にも内閣府などから人材が送り込まれている。法人化後もこうした措置がなければ運営は立ちゆかなくなる。政府は今後もきちんと支援を続けていかなければならない。

一方で米科学アカデミーなど海外の学術機関は国のお金だけに頼らず、民間や個人などから寄付を集め、運営基盤を強化してきた。学術会議も海外にならい、独自の資金確保に努めるべきである。

学術会議は科学者や研究者を代表する機関にもかかわらず、国民からみると一体どんな活動をしているかよくわからなかった。殻に閉じこもらず、社会とコミュニケーションをとることも大切だ。

感染症や気候変動、人工知能(AI)の脅威など、リスク社会は幅広い科学的知見が求められる。政治と科学が知恵を出し合い協力し、社会に積極的に貢献する学術会議になってもらいたい。