バンブーズブログ

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[社説]実効性あるAIルール整備を


 
 
#社説 #オピニオン #生成AI
2023/12/25 2:00
 
米オープンAIが開発したChat(チャット)GPTが急速に普及し、欧米で規制をめぐる議論が加速した =AP
文章や画像を作ることができる生成AI(人工知能)が急速に発達するなか、開発や活用に関するルールの整備が欧米で加速してきた。焦点となっているのは実効性をどう担保するかだ。

日本は企業による生成AIの活用で出遅れており、利用促進が重要であることに変わりはない。この点を踏まえつつ、安全の確保を中心に実効性があるルールの整備を急ぐ必要がある。

欧州連合EU)の主要機関は12月初め、AIの包括規制で大筋合意した。生成AIを活用した様々なサービスの基となる「基盤モデル」に対する事前評価を義務付け、罰則規定を設けた。

米国も国防生産法に基づき、基盤モデルの安全試験を実施することや、結果の政府との共有を求める。議会上院では超党派議員が罰則規定を含む法案を提出した。

背景には基盤モデルが多くの分野に影響を及ぼす可能性が高まり、AIを取り巻く環境も急速に変化している事情がある。

具体的には、企業を中心とする開発競争が激しくなっていることが挙げられる。米巨大IT企業は新技術を相次いで実用化し、米オープンAIの経営をめぐる混乱も競争の激化を浮き彫りにした。

2024年は米大統領選など各地で大型選挙が相次ぐことも考慮に入れる必要がある。米国では生成AIでつくったとみられる偽画像がすでにインターネットを通じて広がり、選挙の結果をゆがめることへの警戒が強まってきた。

日本もこうした変化を直視し、24年3月までに正式決定するAI事業者ガイドラインなどに反映させるべきだ。技術が急速に発達しており、変化に機敏に対応できる柔軟性を備えたルールにするといった視点も欠かせない。

12月初めには主要7カ国(G7)の首脳がAIの国際指針に最終合意した。日本はG7の議長国として議論を主導したが、こうした場面で発言力を維持するためにも国内で有効な手立てを講じることが急務になる。