バンブーズブログ

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[社説]台頭するアフリカを助けよう


 
 
#社説 #オピニオン
2023/9/17 2:00
 
国際社会におけるアフリカの存在感が増している(ナイジェリアのティヌブ大統領)=ロイター
国際政治や経済の舞台でアフリカの存在感が増している。若くダイナミックな成長が期待されるアフリカの国々の台頭を助け、その力を取り込んでいく努力が一段と求められる。

今月の20カ国・地域(G20)首脳会議で、アフリカ連合AU)が正式なメンバーに加わることが決まった。経済力をつけたアフリカ諸国が会議や国際機関で相応の発言権を求めるのは当然だ。各国はこれに応える必要がある。

アフリカ人口の年齢中央値は19歳未満だ。人口増にともなう経済の拡大が見込まれ、新興・途上国のなかでも、潜在力は抜きんでている。高齢化する世界をアフリカの成長が引っ張る時代がやがてくるかもしれない。

だがアフリカが実力を生かしているとは言い切れない。民主主義は根付いておらず、紛争、災害、疫病に人々は苦しむ。最近、軍事クーデターが起きたニジェールガボンはそれぞれウラン、原油を抱え、本来なら資源高の恩恵を国民がもっと享受できたはずだ。

有力産油国リビアの洪水では、政府の分裂状態が防災や救援・復旧活動に影を落とした。地理的に遠い地域の混乱はひとごとに思えるかもしれない。しかし問題を放置すれば、過激派の伸長や難民問題などを通じて世界にはねかえることを認識すべきだ。

民主主義をないがしろにする中国流のアフリカ支援は汚職などの副作用を生んでいる。日本は法の支配の徹底や民主主義の制度づくりを助け、政治の安定を持続的な発展につなげるような協力を進めるべきだ。

日本政府はアフリカ開発会議TICAD)を通じ関係強化に取り組んできた。残念ながら民間の投融資は欧米や中国に大きく見劣りする。ヒトの交流も限定的なものにとどまっており、日本で学びたいアフリカの若者はビザ取得で大きな困難に直面している。

関係重視といいながら、門戸を閉ざしているのは、ちぐはぐな対応と言わざるをえない。