バンブーズブログ

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[社説]企業は市場の規律と向き合い競争力磨け


 
 
#日経平均史上最高値 #社説
2024/3/4 19:05
 
史上最高値を更新し、4万0109円で終えた日経平均株価(4日、東京都中央区
日経平均株価が4日、初めて終値で4万円台に乗せた。企業が経営に株主の視点をとりいれ、価値の向上に取り組むことへの期待感がある。企業は市場が発するメッセージに耳を傾け、持続的な成長に向け動いてほしい。

昨年来の株価上昇の過程で特に注目されてきたのは、日本企業が株式を持ち合ったり、営業目的で出資したりする「政策保有」を見直す動きだ。かつて株式の政策保有は日本企業の強みとされたが、近年は経営の緩みを招くとして批判されてきた。競争力の向上を急ぐ企業にとって株主とのよい緊張関係は欠かせない。

株式の政策保有への批判はバブル崩壊後に強まった。東京証券取引所が昨年来、株主重視の経営を求めていることもあり、企業は政策保有を解消し、資本効率を高める施策を打ち出した。

野村資本市場研究所の推計によれば、時価ベースの持ち合いや営業目的の出資の比率は1990年代初めに50%超だったが、2023年度は12%に低下した。今年2月には企業向け保険料の事前調整問題で金融庁から業務改善を命じられた大手損害保険会社が、政策保有株の売却を発表。市場の規律を経営改善に生かす。

企業が株式を売却した資金を成長が見込める分野へと再投資すれば、資本の有効活用につながり、株主の評価は高まる。トヨタグループが政策保有株の見直しを進めるのも、電気自動車(EV)関連の投資資金をまかなう目的があるとみられる。

売却した政策保有株の受け皿になるのは、投資の採算をきちんと見きわめる国内外の年金基金や資産運用会社、個人だ。企業にとっては、経営戦略を市場に丁寧に発信する投資家向け広報(IR)の戦略的な意義が増している。

実際、東京エレクトロンがニューヨークにIR拠点を設置したように、市場への情報発信を強化する企業は増えた。日経平均4万円に至る株価上昇のなかで企業と市場の距離は縮まった。

日経平均株価が1万円、2万円、3万円の大台に初めて達したのはいずれも1980年代のことだ。まだ証券取引等監視委員会もなく、市場の不正を取り締まる体制は貧弱だった。当時に比べ現在の株式市場の透明性は高い。過熱気味の相場の裏で不健全な取引の芽が育っていないかどうか、目を凝らすことも欠かせない。