バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

[社説]小売り各社は反動減に備えよ


 
 
#社説 #オピニオン
2024/1/23 2:00
 
店頭でのPB販売
小売り・外食各社の2023年3〜11月期の連結業績が出そろった。新型コロナウイルスの5類移行に伴う行動制限の解除やインバウンド(訪日外国人)の急増、値上げの浸透などを背景に軒並み好業績を残した。

このため24年2月期は過去最高益を出す見込みの企業が目立つ。もっとも今回は強い追い風が吹いた面もあり、来期の反動が懸念される。各社は引き続き、消費者の購買意欲を高めるための価格・販売戦略を磨く必要がある。

オフィス街に店舗の多いコンビニエンスストアはコロナ下ではスーパーに比べ、集客面で苦戦していた。今期は出勤の増加などにより売り上げが好転した。

ローソンは3〜11月期の営業利益、純利益ともに過去最高益で24年2月期も同様だ。セブン&アイ・ホールディングス(HD)も営業利益の9割を占める国内外のコンビニが好調で、営業利益が過去最高だった。

不要不急の高額品が中心の百貨店は息を吹き返し、価格に敏感なスーパーや外食も値上げ局面ながら堅調に業績を伸ばした。しかし本当の強さが試されるのは追い風が弱くなる24年以降だ。

値上げは今も続き、節約志向が強まっている。こうした流れに対応するのは不可欠だが、価格重視ばかりでは消耗戦に陥る。消費者が納得する高付加価値の商品開発や新たな顧客拡大が急務だ。

イオンは収益を追求しつつ節約志向に対応するため、プライベートブランド(PB)を増やす。需要予測のデジタル化や、発注への人工知能(AI)活用などにより、店舗運営の効率化も進める。

セブン&アイHDも反動減を見据え、スーパー、コンビニと価格の二極化への対応を強める。ローソンはコロナ下で増えたデリバリーの機能を高め、店舗の大半の商品で配送を可能にする。

個人消費の盛り上がりを持続するには、嗜好や所得環境の多様化に応じた、きめ細かな戦略がさらに求められる。