バンブーズブログ

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[社説]流通・外食は今こそ海外展開のチャンスだ


 
 
#社説 #オピニオン
2023/10/29 2:00
 
ユニクロ事業は売上高でも海外が上回った(12日、決算発表をするユニクロの塚越社長㊧とファーストリテイリングの柳井会長兼社長)
ファーストリテイリングを筆頭に国内流通・外食のグローバル戦略が本格的に動き始めた。人口減や少子高齢化で国内市場が先細りする一方、インバウンド(訪日外国人)の回復で日本の消費財への関心が高まっている。今こそ海外市場を攻めるチャンスだ。

ファストリが海外市場の開拓に乗り出し、20年以上たつ。当初は欧米を中心に苦戦し、軌道に乗せるのに手間取った。

しかし、各地の状況に応じた店作りや出店地の見直し、商品構成の刷新など、地道な努力が功を奏し、2019年8月期に海外のユニクロ事業が営業利益で国内を逆転した。

23年8月期はついに売上高でも海外ユニクロが国内を上回った。9月に塚越大介氏がユニクロ社長に就任したのは、まさに長年苦戦していた北米事業を立て直した功績が認められたからだ。

コンビニ事業の海外展開も拍車がかかっている。百貨店事業を売却したセブン&アイ・ホールディングス(HD)はグローバル化が成長への生命線だ。

23年3〜8月期は、海外コンビニ事業の営業利益が減益となり、国内に逆転されるが、通期では再び海外が上回る見通しだ。コンビニにもインバウンドが押し寄せ、質が高く、多様な品ぞろえに海外からの評価が高まっている。

日本のコンビニ食への支持を受けて、セブン&アイでは展開先を19カ国・地域から、30年度までに30カ国・地域に広げる計画だ。ローソンも今年8月に中国で6千店を超えた。25年度には1万店に増やすのが目標という。

これまで流通・外食はデフレ経済を背景に低価格戦略で成長を続けてきた。しかし、物価高や国内消費の低迷で成長ドライバーを転換する時期を迎えている。

家具・生活雑貨のニトリHDはアジアでの出店拡大に成長資源を集中させる。外食も同じ環境にあり、サイゼリヤは国内の不振を海外で補い、業績を回復させた。

すき家」などを展開するゼンショーHDは、M&A(合併・買収)などを通じて、海外の店舗を24年3月期末に1万店規模にする計画を明らかにしている。

新型コロナウイルス禍の影響が薄れ、各社の業績は安定してきた。国内市場に依存してきた流通・外食はグローバル化を本格的に進めるための土台を作り上げる時期である。