バンブーズブログ

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[社説]不信募る文科相と旧統一教会の関係


 
 
#社説 #オピニオン
2024/2/9 2:00
 
衆院予算委で答弁に立つ盛山文科相(8日午前)
「覚えていない」「うすうす思い出してきた」。理解に苦しむ国会答弁を繰り返すのでは、政治不信は募る一方である。

盛山正仁文部科学相が2021年の衆院選で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体から支援を受けていた、と朝日新聞が報じた。

自民党が22年9月に公表した所属議員と教団の関係の点検調査で今回の事案は未報告だった。過去のしがらみを明らかにしたうえで長年、違法な献金集めを継続した教団との関係を絶つ。そんな決意や調査の信頼性が揺らいでいる。

宗務行政を所管する文科省は23年10月、東京地裁に教団の解散命令を請求した。近く地裁が国側と教団から意見を聴く審問が始まる。手続き自体は粛々と進むとみられる。しかし、閣僚の曖昧な釈明が被害者らの疑念を招いている事態を重く受け止めるべきだ。

軽視できないのは、教団側が掲げる政策への賛同を求める推薦確認書に署名したとされる点だ。盛山氏は「サインをしたかもしれない」「記憶がない」などと述べ、答弁内容は変遷している。

政策とは国会議員の信念であろう。かように軽いものではないはずだ。教団と交わしたとされる確認書はどんな内容で、履行する意思はあったのか。出処進退が問われていることを深く自覚し、説明を尽くす責務がある。

教団の被害者救済に尽力する弁護団は、「一部の保守政治家が教団にお墨付きを与え、被害拡大につながった」と指摘する。

自民党との過去の関係を正確に把握しているのは他ならぬ教団である。今後もさみだれ式に新たな疑惑が明らかになり、その都度、国会審議が紛糾する事態を繰り返してはならない。

自民党派閥のパーティーをめぐる政治資金規正法違反事件で国民の不信は高まっている。かつて米国では旧統一教会を含む韓国側の政界工作を議会下院が詳細に調査した。こうした事例も参考に自浄作用を発揮する時だ。