バンブーズブログ

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GDP4位転落❗️を改革加速の呼び水に

[社説]GDP4位転落を改革加速の呼び水に
 
 
#社説 #オピニオン
2024/2/11 2:00
 
日本の財政・金融政策や構造改革の審査を終え記者会見した国際通貨基金IMF)のゴピナート筆頭副専務理事㊧ら(9日、都内で)=IMF提供
2023年の日本の名目国内総生産GDP)がドイツに抜かれ世界4位に転落する見通しになった。米国に次ぐ2位を10年に中国に譲り、こんどは3位も明け渡すことになる。米欧との金利差の拡大などを背景に大幅な円安が進み、GDPの規模が目減りした。

ドイツ経済は目下マイナス成長にあえぎ「欧州の病人」とも指摘される。逆転は為替変動の要因が大きく、それだけで一喜一憂する必要はない。とはいえ日本の成長力の底上げは進んでいない。今回の事態は怠った経済改革の加速を促す警鐘と受け止めるべきだ。

ドイツ連邦統計庁が公表した23年の名目GDPを同年の平均為替相場で換算すると約4兆4500億ドル。日本の統計は同年9月までしか出ていないが、ドイツに並ぶには15日発表の10〜12月期のGDPが前年同期より3割増える必要がある。可能性は極めて低い。

円相場は23年末に1ドル=141円台と年初より10円ほど下落した。逆にユーロは対ドルでやや強含み、日独逆転を生んだ。だが購買力平価で計算した日本の名目GDPはなおドイツを上回る。為替相場次第では再逆転も起きうる。

順位自体より、潜在成長力の低さや生産性の伸び悩みに注目すべきだ。00年にドイツの2.5倍だった日本の名目GDPは四半世紀近くで同等に近い水準になった。日本の1人当たりGDPは世界で30位程度と低迷する。全体の規模では経済大国の一角にみえても、実力では見劣りすることを真剣にとらえねばならない。

国際通貨基金IMF)は年1回の対日経済審査後の声明で、昨年秋に決めた所得税減税などの経済対策について、的が絞られていないなどの理由で「妥当ではなかった」と評した。痛み止めに終始して中長期の改革に及び腰な岸田文雄政権には厳しい指摘だ。

経済協力開発機構OECD)も人手不足などを展望して定年制廃止による高齢者就労の拡大、女性や外国人の雇用促進を日本に提唱した。労働市場流動性を高め、成長する分野や企業に人材が移動する仕組みを整えることがなにより重要だ。

物価や賃金の上昇が始まり、日銀も超金融緩和策の正常化に動き出している。環境が変化するなかで政府も民間部門も日本経済が抱える構造問題を直視すべきだ。成長促進の方策を的確に練り、迅速に行動に移す必要がある。