#東日本大震災 #災害・気象
2024/3/10 19:40
東日本大震災から13年を前に、追悼行事でともされた灯籠を見つめる親子(10日、宮城県岩沼市)
東日本大震災の被災地で10日、津波で亡くなった人らを悼み、災害の教訓を語り継ぐ行事が催された。
宮城県岩沼市の復興祈念公園「千年希望の丘相野釜公園」では10日夕、市などが主催する追悼行事「希望の灯火(あかり)」が開かれた。公園内の慰霊碑につながる通路には市内の死者・行方不明者数と同じ181個の灯籠が並んだ。
「ひ孫が生まれたよ。天国から見守ってね」。津波で両親を失った岩沼市の小林治身さん(64)は灯籠に記した文字をじっと見つめた。
13年前は職場から戻り、両親と一緒に自宅にいた。自身は塀によじ登って助かったが「両親を助けられていたら。思い出さない日はない」。今も悲しい気持ちは変わらないという。
灯籠には追悼のメッセージなどが記載されている(10日、宮城県岩沼市)
岩沼市は市域のおよそ半分が浸水し、沿岸部の住民の多くが集団移転を余儀なくされた。自宅が流されて高台に移転した沼田桂子さん(72)は毎日のように一緒にお茶を飲んでいた隣人の女性を亡くした。「津波が来るよ、と声をかけていればよかった」と悔やむ。
元日に起きた能登半島地震を13年前と重ね、思いを寄せる人もいた。義理の兄を亡くした女性(81)は地震のニュースで被災の経験を思い出し、涙が出たという。
自身も震災後はつらく心から笑えない日が続いたが、「どれだけ時間がかかっても、いつか笑顔になれるときが必ず来ると伝えたい」と話した。