バンブーズブログ

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ガソリン補助金の出口を示せ

[社説]ガソリン補助金の出口を示せ
 
 
#資源エネルギー #ビジネス #経済
2024/4/5 19:00
 
燃料油への一律補助はすでに2年半近くも続いている(大阪市内の給油所)
市場をゆがめる政府の介入をいつまで続けるつもりか。

政府・与党はガソリンなど燃料の価格上昇を抑える補助金を5月以降も継続すると表明した。従来は4月末で終了するとしていた。延長は7度目だが、今回は新たな期限すら示していない。

燃料補助金は財政負担が大きく、脱炭素の取り組みにも逆行する。物価高対策が不可欠なら、一律補助ではなく真に必要とする対象に支援先を絞り込むべきだと、私たちは何度も訴えてきた。出口戦略をきちんと明示すべきだ。

補助金は2022年1月から石油元売り会社を通じて配り、現在は店頭価格を1リットルあたり175円程度に抑えている。補助金がなければ200円近くになる。

当初は3カ月間の激変緩和措置だったが、資源価格の高騰や円安に伴う輸入コストの増加を理由にずるずると引き延ばしてきた。

原油の国際市況は足元で一時1バレル90ドル超と5カ月半ぶりの水準まで上昇し、イスラエルとイランの対立激化など中東情勢も不透明感を増す。だが商品相場に浮き沈みはつきものだ。燃料補助のための財政支出は5兆円に迫っている。これでは持続性を欠く。

併せて実施してきた電気・都市ガス料金への補助金は、予定通りに5月末で終了する。国民の誰もが使う電気・ガスへの補助を打ち切り、車を保有しない人には無関係なガソリンに関して続ける合理性はなおさら見いだしにくい。

政治資金問題で岸田文雄政権は支持率が低迷し、早期の衆院解散・総選挙の観測も出ている。そんななかでの延長は、単なる人気取りとみられても仕方あるまい。

燃料高が家計や企業活動に与える影響は確かに大きい。ならば低所得世帯や零細企業、農漁業従事者、物流事業者などとりわけ負担が重い層に支援対象を限定するよう、政策を転換する必要がある。

日本経済はようやく賃金と物価の好循環が回り始めた。バラマキは控え、成長投資に財政支出を振り向けるのが政府の責務だ。