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ガザのインフラ被害2.8兆円、GDPの97%相当 国連調査

ガザのインフラ被害2.8兆円、GDPの97%相当 国連調査
 
 
#イスラエルハマス衝突 #中東・アフリカ #北米
2024/4/6 5:22 (2024/4/6 9:32 更新)
 
ガザの被害は拡大する一方だ(23年11月)=AP
【ニューヨーク=佐藤璃子世界銀行と国連はイスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃で、インフラ被害額が1月末時点で約185億ドル(2兆8000億円)に上ったとする報告書を公表した。被害額は2022年のヨルダン川西岸とガザ地区の域内総生産(GDP)の97%に相当するという。

2日に公開された報告書によると、最も物的被害が大きかったのは住宅で被害額の72%を占めた。水道、医療、教育などの公共サービスは19%、商業・工業用施設への損害は9%となる。100万人以上が家を失い、ガザ人口の75%が家を追われている状態だ。

医療施設の84%が破壊され、残った施設も電気や水が不足し、住民が医療措置を受けることはほぼ不可能になっているという。教育システムも崩壊し、全ての子どもたちが学校に通えていないとした。

戦闘が始まった週からほぼ全面的に停電が続く。主要道路の92%が破壊され通信インフラも被害を受けているため、人道支援の搬入が困難な状況だ。ガザの人口の半数以上が飢餓に直面し、全人口が深刻な食料難と栄養失調に陥っている。

5日の国連安全保障理事会では、理事国からイスラエルは戦闘を有利に進めるためガザの飢餓を意図的に引き起こしているとの指摘が出た。パレスチナの人道アクセスの拡大を要求する声が上がった。

国連の中で唯一、法的拘束力のある決定を下せる安保理は調停機能を果たせていない。

3月下旬にはガザにおけるラマダン(イスラム教の断食月)期間中の即時停戦を求める決議を採択したが、実現されないままラマダン期間は終わりに近づいている。多くの理事国は「決議が無視されている」と懸念を示し、即時停戦を改めて求めた。

イスラエルイスラム組織ハマスの衝突は7日で半年となる。

5日に記者会見した国連のグテレス事務総長によると、5日時点で国連職員を含め約200人の人道支援団体の職員が殺害された。「過ちの繰り返しを許している軍事戦略と手続きに問題がある」と述べ、イスラエルに対する独立した調査が必要と訴えた。

グテレス氏はイスラエル軍空爆で標的を定める際に人工知能(AI)を利用しているとも指摘。「AIは世界に利益をもたらすために使われるべきであり、戦争に加担し、説明責任を曖昧にするために利用されるべきではない」と非難した。