バンブーズブログ

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選挙乱す「影響力工作」許すな

[社説]選挙乱す「影響力工作」許すな
 
 
#社説 #オピニオン
2024/5/12 2:00
 
6月の欧州議会選でも「影響力工作」が懸念される(4月の欧州議会)=AP
選挙時に外国の勢力が主にネット上に偽情報などを故意に流し、結果に影響を及ぼす。そんなインフルエンスオペレーション(影響力工作)と呼ばれる行為が世界で増えている。

各国には選挙で守るべきルールがある。ところが、判断材料であるはずの情報がゆがめられているとすれば、選挙への不信感は拭えない。民主主義に対する大きな挑戦だ。日本も人ごとではなく、断じて看過できない。

今年は欧州議会選や米大統領選をはじめ選挙が目白押しだ。そこで外国の勢力が情報を操作し、選挙結果を自国に有利な方向に導いたり、民意の分断をはかったりすれば、対象となった国はもちろん国際情勢にも影響を与える。警戒を怠ってはならない。

情報操作の手法は、ディープフェイクを用いたプロパガンダ動画などの偽情報のほか、誤った歴史的事実などを引用した誤情報や、事実を極端に誇張した悪意ある情報などがある。これらを組み合わせることで、より巧みに世論を誘導するのが特徴だ。

今年1月の台湾総統選では候補者のフェイク動画が拡散した。人工知能(AI)の発達でより巧妙になっており、捕捉が難しく、対策をとりづらい。しかも仕掛ける側のコストが安いことが被害を広げる要因となっている。

関与を指摘されるのがロシアと中国だ。欧州連合EU)の報告書によると、ロシアが背景にいる工作は西側諸国のウクライナ支援を弱めることを目的とするものが多いという。

対策は急務だ。EUはネット上の違法・有害情報の削除をプラットフォーム企業に義務付けるなど偽情報が拡散されにくい環境づくりに取り組んでいる。しかし、不十分だ。

日本を含む各国は、情報が事実かどうか検証したり、攻撃者を特定したりする体制の強化など多角的な対策が求められる。官民連携はもちろん、国際的な協力も不可欠となる。