バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

公務員も年功脱する処遇に

[社説]公務員も年功脱する処遇に
 
 
#社説 #オピニオン
2024/5/17 2:00
 
中間報告を受け取った川本裕子人事院総裁㊨は抜本改革を急ぐ考えを示した(9日、東京都千代田区)=共同
国家公務員の人材確保を考える人事院の人事行政諮問会議が中間報告をまとめた。公務の世界も民間と同様に人的資本の価値を高めることが重要とし、年功序列を脱して能力や業績に応じた処遇を徹底すべきだとした。もっともな提言であり、人事制度の抜本的な改革を急いでほしい。

国家公務員試験の志願者はこの10年で3割減り、キャリアと呼ばれる総合職の若手の離職は毎年100人を超える。中途採用人材の登用も途上だ。中間報告が「人材確保は危機的状況にある。国民の安全な生活に支障を来し、国家の衰退につながりかねない」と危機感を示したのはうなずける。

仕事に公務のような社会貢献を求める若者は少なくない。ただ、その実現の場は外資コンサルタントやスタートアップなど広がりを見せている。人口減少で民間との人材の奪い合いが激しくなるなか、競合する分野で民間並みの処遇は不可欠といえる。

そこで最も優先すべき課題に挙げたのが、各府省で政策の企画・立案や、政治など外部との調整を担う人材の早期選抜と報酬水準のあり方である。

採用年次や年齢に関係なく、能力や業績に基づいて権限や責任の大きいポストに登用する。給与はその高い市場価値に見合った額に引き上げる。日本でも人材の流動性が高まりつつあるなか、どのような組織でも必要とされる優秀な人材を公務に引きつけるのに欠かせない処遇といえよう。

それには職務の内容や必要なスキルを明確にし、職務に応じた給与水準を設定することが必要だ。こうしたジョブ型の発想は、米国が主導した戦後の公務員制度改革でも職階制として取り入れられていたが、職務を厳密に定義するのはなじまないとして形骸化した。改めて徹底せねばなるまい。

人事制度は人事院や各府省が練るが、国会対応などの運用や総人件費のあり方などを考えるのは政治の役割だ。中間報告が抱く危機感を政治も共有すべきである。