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2024/1/26 2:00
自民党の臨時総務会で党改革の中間報告が了承され、発言する岸田首相(25日、党本部)
自民党が派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた党改革の中間報告をまとめた。派閥から「カネと人事」の機能を排除し、収支報告の監査や透明性の向上も打ち出した。不祥事を繰り返す悪弊を今度こそ断ち切れるのか。国民が注視しているのはその一点だ。
岸田文雄首相は25日、自民党政治刷新本部の中間報告を了承した臨時総務会で「私自身先頭に立ち、とりまとめた内容を実行する努力を続けていく。政治改革に終わりはない」と述べた。
中間報告は①政策集団(派閥)の政治資金パーティーや人事での推薦の禁止②収支報告の提出に外部監査を義務付け③国会議員関係団体の収入は銀行振込を基本とする――などが柱。逮捕・起訴された議員の処分を厳格化するため党規約も改正するという。
派閥パーティーの収入を議員側に還流し、収支報告書への記載を怠った事件の再発防止に重点を置いた。今後の法整備に関しては、各党との協議を経て政治資金規正法の改正などを速やかに行うと言及するにとどめた。
自民党がまずなすべきは、主な派閥や多くの議員が裏金づくりにかかわったことの総括と是正策の徹底だ。不正なカネの流れを遮断し、外部からの監視の目を行き届かせる必要がある。収支報告のデジタル化と一元的なネット公開を早期に実現すべきだ。
派閥や資金集めのルールを党で定めるだけでは十分といえず、制度を抜本的に強化する法整備が不可欠だ。会計責任者とともに議員も処罰される「連座制」の適用は重要な検討課題だろう。
現行法は政治家個人や資金管理団体への企業・団体献金を禁止している。一方で政党本部や政治資金団体、政党支部を介した事実上の「迂回献金」を防げていない。政党が議員に支給する政策活動費のほか、公費で賄う各種手当も使途を公開すべきではないか。
東京地検特捜部は今回の裏金事件で国会議員3人と安倍、岸田、二階3派の会計責任者を立件した。刑事告発を受けた安倍派の幹部7人らの立件は見送った。
自民党ではこの3派に加え、森山派と谷垣グループも解散を決めた。派閥の解散や関係者の離党による疑惑の幕引きは許されない。26日には通常国会が召集される。自民党は裏金づくりが常態化した経緯や使途を調査し、国民にきちんと説明してもらいたい。