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中国は過剰生産問題で真摯な対応を

[社説]中国は過剰生産問題で真摯な対応を
 
 
#社説 #オピニオン
2024/5/30 2:00
 
中国からの輸出のため港に並ぶ電気自動車(4月、中国江蘇省)=ロイター
中国は電気自動車(EV)や太陽光パネルをつくりすぎ、不当な安値で輸出しているのではないか。そんな懸念が米欧を中心に強まっている。中国は自国が抱える問題に真摯に向き合い、過剰生産の解消に努めるべきだ。

25日に閉幕した主要7カ国(G7)財務相中央銀行総裁会議は、中国の過剰生産をめぐる討議に多くの時間を割いた。

G7が足並みをそろえて中国の産業政策に注文をつけるのは異例だ。共同声明には「過剰生産能力の潜在的な悪影響を引き続き監視する」と明記した。

中国は強く反発している。中国外務省の報道官は記者会見で「G7は中国のいわゆる過剰生産能力を騒ぎ立て、中国の新エネルギー製品に制限を課そうとしている」と非難した。

中国経済は不動産不況を背景に深刻な需要不足に陥っている。

本来は国内の需要を喚起する政策に軸足を置くべき局面だ。しかし、中国政府はEVなど新エネ産業に巨額の補助金を振り向け、供給サイドのてこ入ればかりに力を注いでいるようにみえる。

結果として、国内の需要を上回るペースで供給が増え、安価な製品が世界の市場にあふれ出ている面は否定できない。

特に中国製EVが市場を席巻する欧州連合EU)で警戒感が高まっている。EUの執行機関である欧州委員会が、中国政府の補助金を受けた安価なEVの調査に乗り出したのは理解できる。

習近平国家主席は欧州訪問の際に「中国の過剰生産能力問題というものは存在しない」と言い切った。提起された問題を頭から否定する姿勢は説得力に欠け、中国への不信を高めるだけだ。

一方、バイデン米政権は中国製EVへの制裁関税を、8月1日からいまの4倍にあたる100%に引き上げる案を公表した。鉄鋼・アルミ製品や太陽光パネルなどの税率も大幅に上げる。

不公正な取引慣行への制裁として、一方的に関税を上げられる米国の通商法301条に基づく措置だ。11月の大統領選を意識した自国産業の保護策であり、自由貿易に反すると言わざるを得ない。

貿易紛争は世界貿易機関WTO)などを通じて話し合いで妥協点を見つけるのが筋だ。中国の過剰生産問題も、まずは国際ルールに沿った交渉で解決をめざすべきなのは言うまでもない。