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中国はデフレ回避の努力してほしい

[社説]中国はデフレ回避へあらゆる手を尽くせ
 
 
#社説 #オピニオン
2024/4/16 19:05
 
中国福建省アモイの港に並ぶ、輸出を待つ新エネルギー車=1月(新華社=共同)
中国経済が今年1〜3月に予想を上回る高い成長を実現した。だが、先行きは楽観できない。深刻な不動産不況に伴う需要不足は続いている。習近平政権は本格的なデフレを避けるために、あらゆる手を尽くすべきだ。

中国の国家統計局が16日に発表した1〜3月の国内総生産GDP)は、実質で前年同期に比べ5.3%増えた。

成長率は2023年10〜12月の5.2%より高まった。4%台の半ばだった市場予想の平均値も大きく上回り、中国政府が24年の目標として掲げる「5%前後」に達した。

成長を引っ張ったのは生産と投資だ。24年1〜3月の生産はおよそ6%増えた。習政権は新エネルギー産業の振興に力を入れており、電気自動車(EV)向けの充電設備といった関連製品が生産全体を押し上げたもようだ。

工場などの固定資産投資は4.5%増となった。中国政府が23年10月に1兆元(約21兆円)の国債増発を決め、通信インフラの整備などにあてた効果が一部で表れたとみられる。

外需の貢献も見逃せない。24年1〜3月の輸出額はドル建てで前年同期を1.5%上回った。四半期ベースで伸び率がプラスになったのは1年半ぶりだ。最大の輸出先である東南アジア諸国連合ASEAN)向けを中心に、EVを含む自動車が伸びた。

一方、GDPの4割を占める消費は相変わらず力強さに欠ける。

3月の社会消費品小売総額(小売売上高)は前年同月に比べ3%ほどの増加にとどまった。若者を中心に雇用情勢は改善しておらず、将来への不安から「消費より貯蓄」の傾向が強まっている。

なにより、出口のみえない不動産不況が消費者心理に重くのしかかる。不動産は中国の家計資産の6割を占めるともいわれる。不動産市況の先行きを見通せなければ、消費者が財布のヒモをきつく締めるのは当然だ。

1〜3月の消費者物価指数(CPI)は前年同期比で横ばいだった。需要不足から、中国経済が深刻なデフレに陥るリスクは消えていない。

必要なのは効果のはっきりしない公共事業や企業の生産を押し上げる補助金より、消費刺激に軸足を置いた政策だ。習政権はそのためであれば積極的な財政出動もためらうべきでない。