バンブーズブログ

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防災情報の周知で避難促せ

[社説]防災情報の周知で避難促せ
 
 
#社説 #オピニオン
2024/6/29 19:00
 
防災気象情報の見直しについて記者会見する気象庁有識者検討会の矢守克也座長=共同
自然災害への警戒を呼びかける「防災気象情報」が見直される。警戒レベルごとに5段階の数字で示し、切迫度が伝わりやすくした。周知を徹底し、適切な避難行動につなげる努力が求められる。

気象庁国土交通省有識者会議が報告書をまとめた。関連法の改正や周知期間などを経て2026年の運用開始を目指す。

防災気象情報は気象庁都道府県が発表する。自治体が災害体制を決めたり、避難指示などを出したりする基準となる。災害が起きるたびに作られ、40種類以上にのぼる。専門家からも「複雑怪奇」という批判が出ていた。

しかも、名称に統一性がなく、わかりにくかった。例えば、土砂災害警戒情報、氾濫危険情報、高潮警報が同じ警戒レベルの位置づけとはイメージしづらい。

今回、洪水や大雨浸水、土砂災害、高潮と避難が必要になる災害を対象に見直した。数字の大きさで危険度を示すように改め、高い方からレベル5は特別警報、同4は危険警報、同3は警報と統一した。シンプルでわかりやすくなったことは評価できる。

情報が整理されても、受け手が活用できなければ意味がない。気象庁は13年、最大級の警戒を伝えるため大雨特別警報を新設した。18年の西日本豪雨では、気象庁が早くから発表の可能性を示した。だが特別警報が出ても、多くの住民は避難せずに被災した。

国や自治体は防災訓練などを通じ、情報の意味と必要な行動をていねいに説明すべきだ。ハザードマップの活用法を伝え、自宅周辺の災害リスクを知ってもらうことも必要になる。教育機関や専門家との連携にも取り組んでほしい。

防災気象情報が出たら、市町村は住民に伝えるための措置をとらねばならない。気象庁は避難指示のタイミングなど判断の目安を示すことも検討すべきだろう。

地球温暖化の影響で、風水害の激甚化が予想される。逃げ遅れないために何が必要か。一人ひとりが考えるきっかけにしたい。