バンブーズブログ

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前例踏襲が際だつ国会審議の改革が必須だ

[社説]「言論の府」の改革を置き去りにするな
 
 
#社説 #オピニオン
2024/6/23 2:00
 
3年ぶりの開催となった19日の党首討論(国会内)
23日が会期末の今国会は自民党派閥の裏金事件を受けた「政治とカネ」の問題に焦点があたり、人口減や危機下の国防などといった国家的課題をめぐる政策論争が深まらなかった。「言論の府」に恥じない国会改革は急務である。

停滞する国会改革の象徴が党首討論だ。審議活性化を目的に英国議会にならって2000年に正式導入した。近年は途絶えがちで、19日の開催は3年ぶりだった。

討論の内容も、首相と野党党首が国家の基本政策などで骨太の議論を戦わせるとの触れ込みからはほど遠い。例えば社会保障制度改革やエネルギー戦略などで財政措置も含めた国家像をぶつけあう光景はほぼ見られない。

首相が答弁資料に頼らず、自らの考えを示して野党党首と競い合う狙いだったはずだ。今回、立憲民主党共産党が選択的夫婦別姓の導入を迫ったが、岸田文雄首相は様々な角度から議論する必要があるといった紋切り型の発言にとどまったのは残念である。

野党も反省が要る。質疑時間が短く首相が反論できる党首討論は敬遠しがちで、政権を追及しやすい予算委員会の集中審議を求める傾向が強い。野党の数が多いため質疑時間を計45分から延ばすほか、開催頻度を増やして質問を交代制にしたり、テーマごとに討論したりする工夫も必要になろう。

今月開かれた英総選挙の党首討論では、首相と最大野党の間で気候変動対策やエネルギー安全保障、不法移民、国民負担といった国政課題で論戦が交わされた。

欧米に比べて日本は首相や閣僚が国会に張り付く時間が長く、衆参で似た質問を繰り返す場面もめだつ。官僚の長時間労働を是正しようと国会で合意した速やかな質問通告への努力も実態はあまり変わっていないとの指摘がある。

副大臣政務官が十分に機能しているとは言い難い。行政の監視機能は大事だが、延々と不祥事の追及を繰り返しているのは立法府の本来の姿ではないはずだ。

今国会は一方で、経済安全保障に関する情報保全制度や、自衛隊の各部隊を一元的に指揮する組織をつくる法律の採決で立憲民主党などの野党も賛成に回った。是々非々の姿勢は評価できる。

国会議員は全国民の代表として国政を審議する重い責務を負う。難題から逃げていれば国民の信頼を取り戻せない。前例踏襲が際だつ国会審議の改革は第一歩だ。