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ハリス氏は政策で大統領の資質を示せ

[社説]ハリス氏は政策で大統領の資質を示せ
 
 
#社説 #オピニオン
2024/8/23 19:05
 
民主党のハリス副大統領は通常ならある予備選を経ずに大統領候補になった=AP
米国の明るい将来像を描いて聴衆を鼓舞し、ひとまず挙党態勢を演出できたとはいえる。これからは政策も説得力をもって語り、超大国を率いるリーダーとしての資質を備えていることを証明しなければならない。

民主党の大統領候補に指名を受けたハリス副大統領が受諾演説に臨んだ。「最も高い志のもとで国民を束ねる大統領になる」「(米国には)無限の可能性がある」。こうした前向きな言葉をちりばめて支持者を熱狂させ、4日間の党大会を締めくくった。

インド系の母とジャマイカ系の父を持ち、検察官や上院議員のキャリアを歩んだ。初の黒人女性、アジア系の大統領をめざす自らの生い立ちを踏まえた言説は、多様な有権者の共感を得る効果を狙ったものだろう。

「強い中間層を築くのが決定的な目標だ。私も中間層出身だ」と訴えたのは、不動産王の経歴を誇示する共和党のトランプ前大統領との対比を意識した。「彼をホワイトハウスに戻すことの結果は極めて深刻だ」と危機感をあおるバイデン大統領の手法もまねた。

もっとも「反トランプ」だけで有権者をひき付けられるかは疑問である。ハリス氏はバイデン氏の選挙戦撤退を受け、大統領候補の座が転がり込んできた。幅広い政策などが吟味される通常の予備選を勝ち抜いたわけではない。投開票日まで2カ月半でその点が問われなければならない。

米国民の関心が高い物価高への対応はその一例だ。先に発表した経済政策はインフレ対策の一環で価格を統制し、従わない企業に罰則を科す内容を盛った。専門家からは実効性に疑問の声があがる。エネルギー政策や医療保険制度を巡って上院議員時代から考え方を改めた点についても、説明を尽くしていないとの指摘がある。

受諾演説で、同盟国との国際協調を重んじるバイデン政権の外交路線を踏襲すると宣言した点は評価できる。「世界における米国のリーダーシップを放棄せず、強化する」という発言の具体的な中身を聞いてみたい。

ハリス、トランプ両氏による9月10日の初のテレビ討論会はその絶好の場である。ハリス氏はバイデン氏の後継の座を固めて以降、長い時間のインタビューや記者会見に応じていない。討論会にとどまらず、政策について話す機会を積極的に設けるべきだ。