バンブーズブログ

社会の大きな流れは新聞のトップニュースに掲載されます。 その情報を読み続けていくと数年先が見えてきます。それは怖いものなしです。

中国はあらゆる問題での誠意ある対応だ

[社説]中国は一刻も早く水産物輸入を再開せよ
 
 
#社説 #オピニオン
2024/9/22 2:00
 
処理水放出を始めた東京電力福島第1原発(2023年8月)
科学的な根拠に基づかない、理不尽なふるまいを改めるきっかけにしてもらいたい。中国の習近平政権は日本産水産物の輸入を一刻も早く再開すべきだ。

東京電力福島第1原子力発電所の処理水放出をめぐり、日中両政府は中国による日本産水産物の全面的な禁輸措置を、段階的に緩和することで合意した。

日本政府が国際原子力機関IAEA)の立ち会いのもとで、中国を含む第三国に放出前の処理水や海水の採取を認める。これを受け中国は、2023年8月に始めた日本産水産物の全面禁輸を緩和する方向で検討する。

もっとも、その時期は決まっていない。岸田文雄首相が「規制の即時撤廃を求める」との立場を改めて強調したのは当然だ。

中国外務省の報道官は今回の合意が「直ちに輸入を全面再開することを意味しない」と語った。今後の日本側との協議で「中国の要求が完全に満たされるのが前提」と一方的な条件までつけたのは納得できない。

容認しがたいのは、中国がいまも処理水を「核汚染水」と呼んでいることだ。これから試料を採取して調べるのに、その前から汚染された水だと決めつけるかのような態度は直ちにやめてほしい。

IAEA福島第1原発の処理水が国際的な安全基準に合致すると結論づけている。中国はそれに耳を貸さず、日本側が科学的な観点からの協議を求めても拒んできた。話し合いのテーブルについたのは一歩前進と評価したいが、中国が水産物の輸入を本当に再開するかはなお予断を許さない。

中国の禁輸が響き、日本の水産物の輸出額は2024年1〜6月に前年の同期に比べて2割近く減った。特にホタテやナマコは中国への輸出が多かった分、ほかより大幅な減少となった。

今回浮き彫りになったのは、中国の巨大な市場に傾斜しすぎる危うさだ。打撃を受けたホタテは米国やベトナムへの輸出が伸びつつある。販売先の多様化は、今後も農水産物の輸出戦略にとって大きな課題になる。

中国の広東省深圳で、日本人学校に通う小学生男児が中国人の男に刺殺される痛ましい事件が起きた。中国側から事件の詳細な説明がなく、日本人社会では中国当局への不信感が高まっている。

中国に求めたいのは、あらゆる問題での誠意ある対応だ。