バンブーズブログ

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⭐️《社説》

[社説]中国は負の連鎖断ち切る具体的な行動を
 
 
#社説 #オピニオン
2024/9/25 2:00
 
会談する上川外相(左端)と中国の王毅外相(右から2人目)=23日、ニューヨーク(外務省提供・共同)
中国の深圳日本人学校男児刺殺事件を受けて、日本企業は中国で働く本人や家族の安全確保と心のケアのため一時帰国を認めざるをえない状況だ。米ニューヨークでの日中外相会談は、深刻な事態の改善に十分役立ったとは言い難い。中国は負の連鎖を断ち切る具体的な行動に踏み切るべきだ。

中国共産党政治局委員である王毅外相は上川陽子外相との会談で「これまで同様、法律に基づき中国にいる全ての外国人の安全を保障する」とした。一方、深圳事件について「偶発的な個別案件」という従来の立場を崩さなかった。

刺した男の動機などは一切、明かされていない。だが中国外交トップが、たまたま起きたことを意味する「偶発」とし、他事件とは関連しない「個別」とも明言したのは、政治・社会的な背景から日本人学校が故意に狙われたわけではないと示唆したも同じだ。

中国側に問題があることを認めない姿勢は、6月に江蘇省蘇州で日本人母子らが切りつけられ、守ろうとした中国人女性が死亡した悲惨な事件でも同様だった。それから3カ月、有効な対策は打ち出されなかった。このままなら再びどこかで似た事件が起きる可能性は捨てきれない。心配である。

外相会談に関する中国側発表で王毅氏は、東京電力福島第1原子力発電所の処理水放出に伴う日本産水産物禁輸の解除を巡っても「着実に回復させる」または「段階的に回復させる」という先の日中間合意にあった表現を避けた。

一方で、日本は中国による独立サンプリング実施を受け入れたのだから「余計なことをいうべきではない」と釘も刺した。現状ではいつからどの程度、輸入を再開するのか全く見通せない。中国は早急に輸入再開を表明すべきだ。

8月下旬には、長崎県男女群島沖で中国軍機による領空侵犯があった。上川氏は王毅氏に直接、速やかに具体的で明確な説明をするよう求めた。安全保障を中心に問題は山積みだ。アステラス製薬社員ら日本人拘束問題も解決にはほど遠い。

27日の自民党総裁選は過去最多の9候補が競っているが、外交政策ではこれまでのところ厳しさが一段と増す対中関係や台湾問題での論戦は不十分だ。各候補は感情に訴えてあおることは避けつつ、世界第2位の経済大国で強権化する隣国とどう付き合うのか、真摯かつ冷静に論じてもらいたい