#北米
2023/3/14 5:16 (2023/3/14 5:47 更新)
【NQNニューヨーク=戸部実華】13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続落し、前週末比90ドル50セント(0.3%)安の3万1819ドル14セントで終えた。昨年10月下旬以来の安値。米国で銀行の破綻が相次ぎ、金融システムを巡る不安の高まりを背景に銀行株を中心に売られた。ただ、米連邦準備理事会(FRB)が3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送るとの観測が浮上し、相場の一定の支えとなった。
10日のシリコンバレーバンク(SVB)に続き、暗号資産(仮想通貨)企業への融資が多いシグネチャー・バンクも12日に経営破綻した。破綻の波が広がることへの警戒感が強く、地銀を中心に売りがかさんだ。ダウ平均の構成銘柄ではないがファースト・リパブリック・バンクは62%安、コメリカは28%安と下げがきつかった。ダウ平均の構成銘柄では金融大手のゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースが安い。
市場では「銀行は融資を縮小し、米景気は減速しやすくなる」(コモンウェルス・ファイナンシャル・ネットワークのブラッド・マクミラン氏)との声も聞かれた。景気悪化への懸念からクレジットカードのアメリカン・エキスプレスや化学のダウの下げも目立った。ダウ平均の下げ幅は取引開始直後に280ドルを超えた。
売り一巡後は下げ渋り、ダウ平均の上げ幅は330ドルに達する場面もあった。市場では「状況が落ち着くまでFRBは利上げを停止するだろう」(ジョーンズ・トレーディングのマイケル・オルーク氏)との声が聞かれた。ゴールドマン・サックスやバークレイズは3月のFOMCで政策金利が据え置かれる可能性を指摘した。
米利上げの一時休止観測が浮上するなか、米国債には買いが広がった。10年物国債利回りは一時前週末比0.29%低い3.41%と約1カ月ぶりの低水準を付け、金融政策の影響を受けやすい2年物国債利回りは5カ月ぶりに4%を割り込む場面があった。相対的な割高感が薄れた高PER(株価収益率)のハイテク株に買いが入りやすく、ソフトウエアのマイクロソフトが2%高で終えた。スマートフォンのアップルと顧客情報管理のセールスフォースも高い。
投資家心理を測る指標となる米株の変動性指数(VIX)は前週末比7%ほど高い26台半ばで終えた。不安心理が高まった状態とされる20を大きく上回った。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発し、前週末比49.955ポイント(0.4%)高の1万1188.843で終えた。