バンブーズブログ

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[社説]物価高が曇らす企業の景況感


 
 
#社説
2023/4/3 19:00
企業の価格転嫁はなお途上。賃上げの継続がカギに(都内のスーパー)
日銀が3日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の現状の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス1と昨年12月の前回調査から6ポイント悪化した。

国内の物価高に欧米中央銀行の金融引き締めの影響による海外経済の減速が重なり、景気の先行きには細心の注意が必要だ。

業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」とした回答の割合を差し引いた値で、大企業製造業のDI悪化は5四半期連続となった。

資源価格の上昇や高止まりで素材業種の企業心理が悪化したほか、電気機械や生産用機械を中心に半導体市況の低下が響いた。

一方、大企業非製造業の業況判断DIはプラス20と前回調査を1ポイント上回り、4四半期連続で改善した。新型コロナウイルスの感染減やインバウンド(訪日外国人)消費の回復が支えとなったが、改善に力強さはみられない。

物価高が引き続き企業の景況感の重荷になっている。販売価格や仕入れ価格の動向を示す判断DIをみると、製造業を中心に上昇に一服傾向がみられたものの、記録的な高水準だった前回調査から小幅に低下したにすぎない。

コロナ禍後の物価の上昇局面を通して、販売価格の引き上げの動きが仕入れ価格の上昇に追いついていない状況は変わっていない。

今回まとまった2023年度の収益計画は全規模全産業で前年度比2.6%の経常減益となり、企業の先行き不安をうかがわせる。一方で23年度の設備投資計画は3.9%増と、3月調査時点としては堅調な出足だといえる。

企業の間では人手不足感が引き続き強いことも示した。

企業の先行き不安を払拭し、前向きな動きを促すには、価格転嫁の着実な進展が必要になる。それと同時に、一段の物価高による消費者心理の冷え込みを防ぐため、収益や経営体力に余裕のある企業を中心に、積極的な賃上げの継続も重要になる。