バンブーズブログ

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[社説]学びに最適なデジタル化を


 
 
#社説
2023/4/13 2:00
2024年度から使われる教科書には2次元コードが多く盛り込まれた
文部科学省は2024年度から使われる教科書の検定結果を公表した。小学校向けのすべての教科書が音声や動画のデジタル教材に誘導するQRコードを掲載した。紙の教科書とタブレット端末を連動させ、英語の正しい発音を確認したり、動画で図形の性質を理解させたりする工夫が目立った。

デジタル教科書の本格的な普及を見据え、利点や課題を検証する機会にもなる。改善点を集約し、現場の指導方法や大学の教員養成課程の充実に生かすことが大切だ。板書中心の授業だけでなく、それぞれの子どもの学習進度にあわせ、主体的な学びを支援する方向で活用してほしい。

デジタル機能を最大限生かすためには法改正を含めた環境整備が不可欠だ。これは政府の役割だ。

QRコードを掲載した教科書は、たとえていえば雑誌の付録に動画ソフトを付けたようなものだ。いまの位置づけは、主力商品である紙媒体の販売を促進するための「おまけ」である。

段階的な普及を目指すデジタル教科書の長所は、文章の朗読、アニメーションや動画などの機能をさらに充実させ、学びを支える有力な手段となりうる点だ。

しかし、現行法は紙の教科書にはない動画などを教科書と認めていない。デジタル教科書を「紙と同じ内容を電磁的に記録したもの」と定義しているためだ。今の制度では、動画などの機能は無償化の対象とならない。

デジタル教科書はクラウド上のデータを端末に配信する。紙の教科書と同一のコンテンツを無償、動画などの教材を有償と切り分けることが妥当なのか。両者を一体的に活用してこそ学習効果が期待できる。自治体の財政状況によって使い勝手に格差が生じてしまう懸念がある。財政支援のあり方なども検討すべきだ。

デジタル化の目的は不登校の子どもを含むすべての児童生徒の学びを情報通信技術でサポートすることだ。国はこの点を踏まえ、学習環境を最適化する責務がある