バンブーズブログ

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[社説]実効性の高いステマ規制を


 
 
#社説
2023/4/26 2:00
実効性のあるステマ対策が問われる(消費者庁のホームページ)
広告であることを隠して商品などを宣伝する「ステルスマーケティングステマ)」が、10月から法律で規制される。日本はこれまで直接規制する仕組みがなく「ステマ天国」とも言われてきた。新しい制度を着実な消費者保護につなげたい。

ネット上では影響力のある「インフルエンサー」らが金銭などの対価を受けながら、公平な口コミを装って商品やサービスを宣伝する行為が横行しているとされる。消費者が誤認して低品質の商品を買ってしまう恐れがあるほか、高品質の商品が売れる機会も失われるなど悪影響が大きい。

10月からは景品表示法に基づき、事業者による広告なのに消費者がそう判別するのが難しい表示が規制される。規制対象は広告主で、違反すれば消費者庁が再発防止の措置命令を出す。従わなければ刑事罰もある。ステマを好んで行いたがる広告主もいるといい、罰則付きの規制は妥当だ。

同庁は一般からの情報提供などをもとに疑わしい事案を調べる。ただ水面下でステマを媒介するブローカーもおり、実態把握の実効性がカギとなる。規制逃れを許さないよう、行政側の調査能力向上を急ぐ必要がある。

今回は事業者を念頭に置く景表法上の規制のため、書き込みをしたインフルエンサーらは対象になっていない。だからといって問題に無関心でいてはなるまい。投稿者は「ステマは消費者を欺くもの」という自覚を持つべきだ。

欧米ではインフルエンサーも規制する例が少なくない。消費者庁の検討会では「単純にもうかるから」という理由でステマを行う投稿者の問題意識の低さを指摘する声もあった。状況が改善しなければ、インフルエンサーへの規制も検討課題に入るだろう。

もちろん、投稿者の自由意思に基づく書き込みや、企業からの依頼でも広告だと明示したものは今後も規制されない。自由な経済活動や表現活動に不当な干渉があってはならないのは当然だ。