2023年6月2日 11:57
毎日新聞 毎日新聞社
米議会上院は1日、連邦政府の借金限度額を定める「債務上限」の適用を2025年1月まで停止する法案を賛成多数で可決した。下院は5月31日に可決しており、バイデン大統領の署名を経て成立する。世界経済の混乱につながりかねない米国債のデフォルト(債務不履行)回避が確実となった。
米財務省によると政府資金は5日に枯渇する可能性が高く、この日までに法案を成立させなければデフォルトを招く恐れがあった。野党・共和党が多数派を握る下院に続き、与党・民主党が多数派を握る上院でも速やかに法案を可決できるかが焦点だった。
可決した法案は、25年1月まで債務上限の適用を停止する代わりに、連邦政府の24会計年度(23年10月~24年9月)の非国防予算を前年度並みに抑え、25年度も1%増にとどめる内容。
連邦政府の債務総額は1月に法定上限の31兆4000億ドル(約4400兆円)に達し、追加の借り入れができなくなった。資金繰りに行き詰まってデフォルトが発生する恐れがあり、イエレン財務長官が議会に速やかな対応を求めていた。
バイデン氏と共和党のマッカーシー下院議長は5月上旬、債務上限問題の解決に向けた協議を開始。共和党が求める大幅な歳出削減案にバイデン氏側が反発したが、デフォルト回避のタイムリミットが迫る中で双方が歩み寄り、5月27日に原則合意に達した。共和党の保守強硬派と民主党の急進左派から不満の声が上がったが、バイデン氏とマッカーシー氏が法案可決への協力を呼びかけていた。【ワシントン大久保渉】